こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

カリフォルニア・ダウン

otello2015-08-05

カリフォルニア・ダウン SAN ANDREAS

監督 ブラッド・ペイトン
出演 ドウェイン・ジョンソン/カーラ・グギーノ/アレクサンドラ・ダダリオ/ヨアン・グリフィズ/アーチー・パンジャビ/ポール・ジアマッティ
ナンバー 174
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

クルマが地裂に落下する。崩落する屋上から女がジャンプする。ヘリの前方で高層ビルが倒壊する。駐車場が押しつぶされる。高さ数十メートルの波の壁がボートを飲み込むetc. あらゆるシチュエーションで登場人物が極限まで追い詰められ、危機一髪の状態から間一髪で難を逃れるシーンが繰り返される。その息を飲む緊迫感の連続に、瞬きを忘れてしまった。物語は、未曽有の地震に見舞われたた大都市に取り残された妻子を救い出す救難救助士の活躍を描く。波打つ大地、飛散する瓦礫、燃え盛る炎、押し寄せる津波。大災害の渦中に自ら飛び込む主人公の目を通して再現されたこの世の終焉とも思える映像はリアリティたっぷり、臨場感あふれるサウンドとともにスクリーンから客席に押し寄せる。

ネバダ州でダムが決壊、さらにカリフォルニア州を縦断する活断層にも異変が起き、西海岸は大きな揺れに襲われる。救助ヘリを操縦するレイは、任務を投げ出してLAのビルで孤立した元妻のエマのもとに急行する。

近年のビルは耐震設計のはずだが、想定外の震度に耐えられず往復運動した後次々と中折れし崩壊していく。ケータイはつながらず情報は入らない、事態がよく分からない場合、とりあえず落ち着くまでは自分とごく身近な人の安全確保に専念すべきなのだろう。ダムで少女を助けて死んだ研究生の扱いが小さいのは、逃げ出したエマの恋人のほうがこの状況ではベターな選択だったということなのか。非常時では、わが身を犠牲にしてまで救うべき命は愛する家族だけとレイの行動は訴える。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後、エマと共にサンフランシスコに向かったレイは、ここでも娘のブレイクの安否しか頭にない。地形が歪んだのか、津波の海水が引かず水没した街でレイとエマはブレイクを探し続ける。そんな、公私混同と思われてもエマとブレイクの救出を優先させるレイの背中は、安易なヒロイズムよりも父親としての責任の方が大切と語っていた。学者が口にした“巨大地震は確率の問題ではなく時間の問題”のセリフが、プレートの境界線近くに住む日本人にとっては切実だった。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓