鍛え上げた技を次々と披露し観客の視線を一身に浴びる快感。たとえそれが酔っ払いばかりのホールでも、ファンからの声援は、時に罵声であっても生きる力を与えてくれる。物語は英国の小さな町でプロレス興行を生業にする家族の長女が、より大きなステージに立つために本場で修行する姿を描く。オーディションには合格した。米国のジムに招集された。そこで待っていたのは異次元の世界。英国では “女の子” であるだけで注目されたが、米国では金髪長身プロポーション抜群のセクシー美女たちが真剣にレスラーを目指している。彼女たちの強烈な上昇志向に圧倒されたヒロインは、ハードな練習に青息吐息。大金を稼げるショービジネスとしてすっかり定着している米国プロレス界の、レスラーたちのステイタスの高さが興味深かった。
両親も兄もレスラーのプロレス一家に育ったブリトニーは地元では人気者。ある日、米国のプロレス団体・WWEから誘いの電話があり、兄のザックと共にオーディションを受ける。
会場で偶然言葉を交わしたのがスーパースターのザ・ロック。プロレスラーといっても二流以下のザックとブリトニーは彼に助言を求める。いささか無礼ともいえるザックの聞き方にも、ザ・ロックは笑顔を崩さず応えているが、突然怒りだす。そこで “ザコどもが俺に慣れ慣れしくするな!” という本音を露にした怒鳴り方を見せて、心の底から本気でキャラを演じ切る大切さをザ・ロックは2人に伝えようとするのだ。いまやハリウッド俳優の中でも稼ぎ頭のドウェイン・ジョンソンの金言は、あらゆるビジネスに通じる普遍性があった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
フロリダの訓練所に集められたブリトニーたち練習生たちは、半分以上が脱落する厳しい特訓を受ける。友人もできず一人寂しく夜を過ごすブリトニーは、金髪3人組との溝も深まる。ところがふとしたきっかけで、彼女たちの方がよほど腹を括ってこの合宿に参加しているとブリトニーは知り、己の甘さに気づく。夢を追う覚悟、それは退路を断つことだとこの作品は訴える。
監督 スティーブン・マーチャント
出演 フローレンス・ピュー/レナ・ヘディ/ニック・フロスト
ナンバー 208
オススメ度 ★★★
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