ストリート・レーサー
ポイント ★★
DATE 08/6/18
THEATER SG
監督 オレグ・フェセンコ
ナンバー 145
出演 アレクセイ・チャドフ/マリーナ・アレクサンドロワ/スタニスラフ・ボンダレンコ/エルヴィラ・ボルゴヴァ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
2両の戦車が未舗装の道を地響きのような轟音をあげながら全速力で突っ走る。キャタピラーで小屋を踏み潰し、水しぶきを上げながら川を渡る重量級のレースは迫力満点。おそらく時速80キロも出ていないだろう、それでも兵器としての戦車ではなくスピードを究めようとする道具としての使い方に、ロシア人のユーモアを感じた。しかし、見せ場は思ったほど長続きせず、あっけなくゴールしてしまうのは残念。普段一般人が見ることができない戦車のコックピットや操縦テクニックを見せて欲しかった。
陸軍を除隊したステパンは実家の自動車修理工場に帰る。そこでカーチャという美しい娘と出会い、彼女に魅かれていく。一方でカーチャの元恋人・ドッカーが主催する公道カーレースに参加する。ドッカーは汚職役人と組んで高級車を密輸する組織を運営していた。
ロシアではまだ「公道レース映画」は一般的ではないのだろう、レースの基本的なルールやコースの難易度がハリウッドの同カテゴリーと比べると未熟だ。スピードを体感させるようなカメラワークも控えめで、超絶的なドライブテクニックとも無縁。まあ、登場するスーパーカーはフェラーリだけで、あとはほとんど日本製スポーツカーというのはかえって親しみを持てた。特にフェラーリと伍してまったく引けを取らない日産フェアレディZの走りっぷりは、その価格差を考えると驚異的な性能だ。といっても日産車のプロモーション映画ではないのだが。。。
もはやストーリーは二の次、この種の映画はカーアクションを見せることが主眼なのだが、なぜスポーツカーが集団で走行するのか首をかしげる。大型トレーラーを10台ほどのクルマが追いかけるシーンなど、意味がよく理解できない。また、ドッカーは走ることに生きる意味を見出すと言うが、その言葉とは裏腹に、映画はスピードがもたらすスリルをエクスタシーにまで昇華し切れていなかった。