こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ナイト&デイ

otello2010-10-11

ナイト&デイ Knight and Day

ポイント ★★★
監督 ジェームズ・マンゴールド
出演 トム・クルーズ/キャメロン・ディアス/ピーター・サースガード/オリヴィエ・マルティネス/ポール・ダノ
ナンバー 242
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


得体が知れないけれどどこか魅力的な男とかかわってしまったゆえに予期せぬ災難に見舞われる女。しかし、男は女が危険に襲われるたびに何処からともなく現れ、体を張って彼女を守る。アクションに次ぐアクション、スリルとスピードに観客をくぎ付けにし、張り巡らせた伏線と仕掛けが新たな展開に興味をつなぐ。トム・クルーズ扮するスパイがどんなときにも命がけのゲームを楽しんでいるようなクールな余裕を見せ、キャメロン・ディアスが演じる“巻き込まれた一般人”は恐怖とパニックから余計なピンチを呼び寄せる。そんなコミカルな要素も織り込まれていて、物語は最後まで一気に突っ走る。


空港で見知らぬ男とぶつかったジューンは、その男・ロイと同じ飛行機に乗り合わせる。彼女がトイレから戻るとロイ以外の乗客乗員は全員死亡、ロイは飛行機を不時着させる。翌朝目覚めたジューンは政府機関に身柄を拘束されるが、またしてもロイが窮地を救う。


バイクで空中に飛んだ直後にジューンが拉致された車のボンネットに降ってくるロイ。並走するミニバンから飛び移ると屋根の上で銃撃戦をする。さらに牛追い祭りの街をバイクで激走し暴走する牛を利用して敵を翻弄するなど、リアルさを追求するよりアイデアの斬新さを競うようなヤマ場の連続は決して見る者を飽きさせない。途中の経過を大胆に省略した脚本も、過剰な説明や理屈はミステリーの“疾走感”を滞らせるだけという割り切りを見せる。


◆以下 結末に触れています◆


超人的な身体能力と先を読む頭脳を持つ戦闘マシーンだと思っていたロイにも両親がいて、ロイはいつも彼らを気にかけていたことを知ったジューンはにわかに「強い女」に変身する。その後も「暗闇での作業能力」や「with me,without me」というセリフが効果的に使われていたり、思わずニヤリとさせる。全編、娯楽映画ならではのサービス精神に充ちあふれた作品だった。