こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スノーホワイト

otello2012-06-20

スノーホワイト
SNOW WHITE AND THE HUNTSMAN

オススメ度 ★★
監督 ルパート・サンダース
出演 クリステン・スチュワート/シャーリーズ・セロン/クリス・ヘムズワース/サム・クラフリン
ナンバー 124
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

雪のように白い肌、血のように赤い唇、黒檀のように黒い髪。邪悪な女王が嫉妬する美しさだけでなく、彼女の胸には生き残るために戦い、苦痛と絶望を強いられる人々に希望を与え、自らの運命を切り開いていこうとする強さと優しさが備わっている。ヒロインにはもはや童話やアニメの片鱗は微塵もなく、甲冑を身にまとって馬を駆り剣をふるい反乱軍を率いる姿は、ジャンヌ・ダルクを思わせる勇壮さだ。映画は、「白雪姫」の先入観を根底から覆し、向上心と不屈の意志と気配り、女がリーダーとなって大勢の男たちの上に立つには何が必要かを模索する。

王女に生まれたスノーホワイトは継母となった新女王・ラヴェンナによって城内の塔に幽閉される。ある日、魔法の鏡がラヴェンナに、スノーホワイトの心臓を食べれば永遠の若さが得られると告げる。ラヴェンナスノーホワイトのひっ立てようとするが、間一髪、スノーホワイトは城を脱出し黒い森に逃げる。

国中の若い娘を集め、彼女らの生気を吸い取ることで己のきめ細かく張りのある肌を保つラヴェンナ。本当は老いさらばえた容姿なのだろう、だが、美貌こそが女の値打ちと信じて疑わない彼女はためらいなく娘たちの命を奪う。年を取ると女の魅力が下がりそれは自分の人間としての価値も失わせるものだという彼女の妄信は、アンチエイジングに励む現代のオバサンたちに通じるものがあり、中身を年相応に磨いてこなかった女の痛さがおどろおどろしく再現されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてラヴェンナの放ったハンターを味方につけ妖精の森に迷い込んだスノーホワイトは、小人たちから救世主として認められるが、そこもラヴェンナの弟の襲撃を受け滅ぼされる。その後も毒りんごを食べ仮死状態になるなどのポイントを押さえつつ、最終的には圧政に苦しむ民衆の指揮官となってラヴェンナが住む城を攻め立てる。ただ、このあたりの展開が非常に拙速で、長い牢獄暮らしで何の肉体的知的鍛錬も受けず協力者も一切いない状況から、わずか数日で民衆の支持を集めるのは、いくら“おとぎ話”といえども強引過ぎないか。。。

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