シュガー・ラッシュ WRECK-IT RALPH
監督 リッチ・ムーア
出演
ナンバー 77
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
壊し屋は嫌われ、どれほど変わろうと望んでも、みんなのために活躍するヒーローのように愛されたりはしない。そんな定められた運命から逃れられない主人公は、プログラムされた役割を演じ続ける。物語は閉店後のゲームセンターで、“仕事”を終えたゲーム機のキャラクターが“プライベート”に戻って、本当の自分を探し出そうとする冒険を描く。いつも暴れた後は必ずやられる日常に飽き、称賛され尊敬されたい願う彼の思いは、人生に流されている人々の共感を得るだろう。そして一人ではで叶わない目標も誰かと力を合わせれば乗り越えられると映画は説く。
30年間も同じゲームの中でビルを壊してきたラルフは、人気者になりたいと考え、戦闘ゲーム機内でヒーローの証であるメダルを手に入れる。だが、バグを抱え込んでしまったまま、シュガー・ラッシュという古いゲーム機の中に迷い込んでしまう。
ゲームの中の悪役たちが自助グループを作って悩みを打ち明け合うシーンは、世間からつまはじきにされた者の心境をリアルに再現する。殴られ撃たれ殺され憎まれるばかりで、己の存在価値に自信が持てない彼に、仲間たちは実のある励ましの言葉をかけられない。それでもラルフはレース出場を目指す少女・ヴァネロペと出会ったのをきっかけに、彼女の夢に協力し、お互いの欠けた部分を補う信頼関係を築いていく過程で、相手のためになれると気づいていく。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ただ、いかに古い機器のキャラという設定とはいえ、ラルフやヴァネロペの造形が前世紀的で、懐かしさよりも古臭さが漂う。ラルフがメダルを手に入れようと入った戦闘ゲームがハイパーリアルな未来像を提示していただけに、お菓子の世界のカーレースはスリルも半減だった。まあ、まだ強い刺激に慣れていない小さな子供向けにこの作品が製作されたのは理解できるが。結局、ラルフはゲーム内での彼の役割を全うすることに喜びを覚え始める。なんかそこに「置かれた場所で咲きなさい」的な説教臭さを感じてしまった。。。
オススメ度 ★★