こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブラックライト

武装集団に追い詰められた仲間を鮮やかな手業で脱出させる。一仕事終えて帰宅すると、病的なまでに清潔で整頓好き。なのにかわいい孫娘が絡んでくると思わぬミスをする。物語は、政府組織の犯罪を暴こうとする内通者を守ろうと奔走する男の奮闘を追う。内通者は当然命を狙われている。もみ消すために殺し屋が送り込まれてくる。主人公は内通者とその協力者を保護するために殺し屋と対峙しなければならない。そして明らかになっていく大いなる欺瞞と裏切り。巨大な予算と権限を与えられた官庁がトップの私欲のためにあらゆるプライバシーを調査し、敵対するものを排除する。安全保障の名のもとに執行される自由への侵害行為は、テクノロジーの進化した現代とは思えないほど前時代的。諜報活動はやはりマンパワー頼りなのだ。

リベラル派の女性活動家が暗殺されるがひき逃げ事件として処理される。一方、警官への暴行で逮捕されたダスティの身柄を引き受けに来たトラヴィスは、ダスティに逃げられる。

ラヴィスは身元がばれたFBI潜入捜査官の救出を長官から委託されている。もう老人ながら圧倒的な経験に裏打ちされた作戦行動はまさに電光石火。ところが孫娘が絡むと物忘れが発生する。それでもダスティが命がけで伝えようとした秘密と、長官が暗殺部隊の指揮を執っている事実を知ると、ダスティが接触した記者に協力するなど、正義感は衰えていない。そのあたり、リーアム・ニーソンが “信頼できる米国のオヤジ” 的な安心感を与えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、ダスティが真実を語る自由だの良心に従って告発するだの言っている割に、逃走時にごみ収集車を奪って街やクルマに対してテロリストのように爆走の限りを尽くす。素手の格闘やガンファイト、カーチェイスも雑で爆音と破壊に頼るばかり。もう少し気の利いたカメラワークやアクションを見せてほしかった。そもそも暗殺のターゲットになるのが善意の自国民、民主主義の危機を演出するならば敵対国家との関連などで説得力を持たせてほしかった。

監督     マーク・ウィリアムズ
出演     リーアム・ニーソン/エミー・レイバー=ランプマン/テイラー・ジョン・スミス/エイダン・クイン
ナンバー     46
オススメ度     ★★


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