こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エンド・オブ・ウォッチ

otello2013-07-25

エンド・オブ・ウォッチ END OF WATCH

監督 デヴィッド・エアー
出演 ジェイク・ギレンホール/マイケル・ペーニャ/アメリカ・フェレーラ/アナ・ケンドリック/ナタリー・マルティネス
ナンバー 180
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

わずかな違反も見逃さず厳格に法を執行する制服警官。彼らにとって、担当する全米一治安が悪いといわれる一帯は絶好の狩場になる。ドラッグと暴力、銃撃と殺人が茶飯事と化した街で、日々彼らは見回り、摘発し、人命救助に奮闘する。映画はそんな2人の日常に密着、車載カメラやクリップカメラ、ハンディカメラの映像は圧倒的な臨場感とリアリティにあふれ、犯罪取締りの最前線をレポートするドキュメンタリーのようだ。そこで描かれているのは黒人ギャングの衰退とメキシコ系ギャングの隆盛。人種差別と貧困の副産物として悪事に手を染めた黒人たちは直情径行型なのに対し、メキシコ人たちはより組織的である種の邪悪さが漂う。それは大家族的な結束に加え、ドラッグ密売という明確な意図があって米国に進出してきたからだ。

LAサウス・セントラル地区をパトロールするテイラーとザヴァラは、逃走・発砲する黒人を逮捕したり子供を救ったりと大活躍。ある日、メキシコ系のチンピラに職質をかけると、その男はトラックに大量のドラッグと自動小銃を隠していた。

四六時中カメラを回し続けるテイラーは、警察署内のミーティングやロッカールームなど、普段部外者が目にできない場所でも撮影をやめない。記憶媒体に残された、時に危険も顧みない2人の行動は、スリルを楽しんでいるかに見える反面、相棒に恐怖を悟られないための蛮勇にも思える。そのあたり、感情表現に走らないこの作品のスタイルが、解釈に奥行きを持たせていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

メキシコ系ギャングから得た情報をもとに独自捜査し重大な秘密を知った2人は、麻薬カルテルにつけ狙われる羽目になる。黒人ギャングに忠告されても手を引かないのは、警察の組織力がカルテルに負けるはずがないと信じているからなのか。妥協しないテイラーは、記録することで自分たちを客観的にとらえようとする。そして目の当たりにした現実。ザヴァラのエッチ話の使い方は、命のはかなさを象徴していた。。。

オススメ度 ★★★*

↓公式サイト↓