監督 山田尚子
出演
ナンバー 102
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
面と向かっては言いづらい、電話では真意が誤解される。そんな微妙な内容のとき、糸電話を使う少年と少女。紙コップに放った言葉は糸をつたって相手に届き、自分が喋り終えるまで反論も同意も返ってくることはない。お互いを知り尽くしているふたりにとって、思いのたけをぶつけるのには最良の小道具だ。物語は舌足らずな話し方をする少し鈍感な女高生が同級生に告白されて、戸惑いながらも本心に目覚めていく過程を描く。彼女を囲む仲間には、しっかり者のリーダー、マイペースの不思議ちゃん、優等生のメガネっ娘などのキャラクターが用意され、アニメファンの心に火をつける。
高校3年生になったたまこは、友人たちが進路を決めているのを尻目に、家業の和菓子屋を継ぐための研究に余念がない。ある日、向かいの家に住むもち蔵に好きだと告げられ、たまこは何もかも手につかなくなる。
赤ちゃんのころから同じ商店街で育ったもち蔵に対し、幼馴染み以上の感情を抱いていなかったたまこ。それ以来、もち蔵を男子として意識するあまり、すべての言動にぎこちなくなる。このあたり、男女の機微に通じていないたまこのうろたえぶりが萌えポイントなのだろう。いまどきこんな娘がいるはずがないと思わせるほど世間知らずのたまこは、つい応援したくなるくらい健気だ。もし実写で女優が演じたらならブリッ子に見えかねず、“女に嫌われる女”になっていたのは間違いない。まあ、ファンはみな男だから心配はないが。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
映像作家をめざし東京に行く決心をしたもち蔵は、撮りためたたまこの動画を削除しようとする。夢を追うためにはたまこと離れ離れになるから、ずっと秘めていた胸の内を明かしたもち蔵。たまこももち蔵に己の気持ちを打ち明けようとする。受け手の耳にしか声が聞こえない糸電話だからこそ思いはきちんと伝わる、その初々しい恋がまぶしい。ただ、この作品の雰囲気には最後までついていけなかった。。。
オススメ度 ★★