ラスト5イヤーズ THE LAST 5 YEARS
監督 リチャード・ラグラヴェネーズ
出演 アナ・ケンドリック/ジェレミー・ジョーダン/ナタリー・ネップ/タマラ・ミンツ
ナンバー 104
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
夢は叶わず、結婚生活にも破れ、美しかったあの頃はもう戻ってこないと嘆く売れない女優。学生時代にチャンスをつかみ、愛する人とともに未来へ進もうとする作家。出会ったときはお互いが運命の人だと直感した。別れた後では必然と納得した。映画はNYで一旗揚げようとする20代カップルの5年間の軌跡を追う。女優の視点から見た物語は、現在から過去へとエモーショナルにさかのぼることで男の身勝手さを糾弾する。作家は時間軸に沿ってエピソードを積み重ね、女心の扱いづらさを伝えようとする。複雑に交錯するふたりの思いを訴える歌の数々、それは、屈辱と成功、挫折と希望、不信と愛という、相反する感情だ。辛い記憶を懐かしい思い出に熟成させるにはまだ早すぎる、本当の人生はこれから始まるとふたりに教えたやりたくなった。
ジェイミーに去られたキャシーは悲しみに暮れながらもすれ違いの日々を思い出す。オーディションを受け続けるが活躍の場は与えられないまま、年ごとに有名になっていくジェイミーの“お飾りの妻”の座が我慢ならない。
一方、習作が認められて出版されたジェイミーは一躍文壇の寵児となり、以後もベストセラーを連発させる。その過程は、努力はしているのに報われないキャシーと対照的。キャシーはもう若くないと気づかされて焦り苛立ち、理解しようとしないジェイミーの態度が鼻につく。刺激し合うような対等な立場でいたいのに、圧倒的な差がついてしまった。にもかかわらず己の生き方を変えられないキャシーのプライドが痛々しかった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ジェイミーも彼なりにキャシーを励ましている。だが、彼の言葉の端々にキャシーは“上から目線”を感じ、素直に受け取れない。やがてそんなキャシーにジェイミーは耐えられなくなる。才能の点からも、キャシーが一歩引いてジェイミーを支える役割を受け入れれば、ふたりに破局は訪れなかったはず。ジェイミーに非がないとは言わないが、やはりキャシーの強すぎる自我には共感できなかった。。。
オススメ度 ★★*