ジュラシック・ワールド Jurassic World
監督 コリン・トレボロウ
出演 クリス・プラット/ブライス・ダラス・ハワード/ビンセント・ドノフリオ/タイ・シンプキンス/ニック・ロビンソン/オマール・シー/ イルファン・カーン
ナンバー 146
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
体温を下げ体色を変え脱走を偽装して人間たちを出し抜く。高い知能は飼いならされるのを潔しとせず、己の力を誇示するかのように視界にはいるすべての動くものを殺すか服従させる。人工的に生み出されたハイブリッド恐竜の圧倒的なパワーとリアルな造形、狡知に長けたキャラクターが魅力的だ。凶暴なだけではない、記憶し、考え、同類種ともコミュニケーションを取る姿は、高度な知性すら感じさせる。その破壊活動は生命倫理の一線を越えてしまった科学者や経営者に対する神の鉄槌、物語は、檻から逃げ出した恐竜に人間が襲われるという第一作のパターンを踏襲するが、すでに開園している恐竜テーマパークには観光客が押し寄せ、肉食の翼竜も解き放されるなど、パニックのスケールは格段にアップしている。一瞬たりとも緊張が緩まないスリルの連続にスクリーンから目が離せなかった。
TレックスのDNAに様々な恐竜・動物のDNAを加えて創造された巨大肉食恐竜・インドミナスレックスが飼育施設から逃亡、現場責任者のクレアはラプトル調教に成功したオーウェンと共にインドミナスの行方を追う。
その過程で園内に取り残されたクレアの甥たちや、来場者数を気にするCEO、ラプトルを生物兵器に応用しようとする警備担当者らの思惑が交錯する。一方インドミナスは体内に埋め込まれた発信機を自力で外し、数十秒で捕獲部隊を殲滅するなど想定外の戦闘能力で人間に反撃、観光客が滞在するエリアに向かう。高い塀の中で社会性を身につけず育てられたインドミナスが抑えてきたサバイバル本能を全開にして“狩り”と“食事”を楽しむ姿は、人間のエゴと欲望の産物である自らのアイデンティティを探る旅にも見えた。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
オーウェンたちの活躍も虚しく、観光客もスタッフも次第に恐竜たちに追い詰められていく。そんな中でも、オーウェンはラプトルたちの信頼関係を失わず、クレアは機転を利かせ窮地を脱しようとする。「我こそは恐竜の王者」と宣言するかのごときTレックスの咆哮が、人間の傲慢さへの警告に思えた。
オススメ度 ★★★*