こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

保護地域から逃げ出した恐竜たちが、今や人間や野生動物と共存している。一方で、遺伝子操作を受けた種は厳重に管理され、その利用価値を高められようとしている。物語は、特殊な遺伝子を持つ恐竜と少女を巡って様々な思惑が交錯する過程を描く。交配を経なくても自分のクローンを残せる時代になった。だがまだ完成の域には達していない。同時に、生物兵器として実用化された恐竜たちは闇マーケットで取引されている。そこは倫理など一片も顧みない強欲な世界、もはや科学者は地球の環境を破壊する忌まわしい人種に成り下がっている。だが、その企みを阻止するのもまた科学者の理性。生命という神の領域に足を踏み入れた人類を待ち受けるのは決して輝かしい未来ではないとこの作品は訴える。それでも、好奇心こそが我々を進歩させてきたのは否定できない。

山中で隠棲していたメイジーは子恐竜と共に拉致される。彼らを救出するためにオーウェンとクレアはイタリア山中の盆地にある恐竜保護区の研究所に潜入する。

折しも巨大イナゴの発生に危機感を抱いたエリーとアランも研究所を訪れ、バイオテクノロジー企業が遺伝子組み換え生物で世界支配を企んでいる証拠を入手する。カオスとなった研究所から逃げ出す道中でさまざまな恐竜に襲われるという「ジュラシック」シリーズのお約束は踏襲するものの、科学的見地に基づいたディテールは非常に説得力があった。ただ、野生のサルやクマと遭遇した時は目を合わせないことが日本では奨励されているが、恐竜が相手の時は目をみつめ宥めるように手のひらを見せる。この方がいいのだろうか。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

とはいえ、理論や理屈よりも派手なアクションを優先させた映像はスピーディかつスリリングで、ときどきツッコミを入れたくなるけれども、まったく息切れせずに最後まで全力疾走する。特にバイクとのチェイスは、舗装道では急に方向転換できない恐竜の弱点が露見して興味深い。アランがインディ・ジョーンズの真似をするシーンには思わず笑ってしまった。

監督     コリン・トレボロ
出演     クリス・プラット/ブライス・ダラス・ハワード/ ローラ・ダーン/ジェフ・ゴールドブラム/サム・ニール/ディワンダ・ワイズ/マムドゥ・アチー/イザベラ・サーモン/
ナンバー     140
オススメ度     ★★★*


↓公式サイト↓
https://www.jurassicworld.jp/