こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アントラム 史上最も呪われた映画

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曰く、上映した映画館が焼失した。曰く、出品した映画祭の関係者が変死した。曰く、観客が暴動を起こしたetc. 結果、その映画を見た者は必ず死ぬという伝説だけが広まり、長らく行方不明になっていたフィルムが発見された。物語は、そんな設定の下で呪われた映画を再現する。ドキュメンタリーを装った関係者へのインタビューシーンは神経を逆なでするBGMとともに不安感をあおり、超常現象を否定しないスタンスの話者がさまざまな含みのある持論を展開する。同時に、サイレント時代に描かれた悪魔と地獄の映像を挿入することでさらなる印象操作をする。さらに、本編に当たる部分では何度もサブリミナル効果を狙ったシンボルが現れ不快感を強調する。そう、映画とはイメージを刷り込むことである種の観念を観客に刷り込むメディアなのだ。

幻の映画「アントラム」を入手したマイケルとデビッドは、制作された意図や来歴ついて研究者の意見を聞く。フィルム自体を調べるうちに、この映画には、悪意を持った細工が施されていることがわかる。

そうした前振りの後、映画本編が全編再現される。そこでも、“この映画を見て不幸なことが起きても自己責任で” みたいな警告が映し出されたあと、10歳くらいの少年・ネイサンと18歳くらいの姉が、安楽死させた愛犬の魂を救うために禁断の森に入り、あの世につながる穴を掘り続けるという話が展開される。死の腐臭が濃厚に漂う冥界の出入り口、そこには忌まわしい何かが潜んでいる。70年代風の粗い画質で撮影された映像は、時代の空気をリアルに再現していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

姉弟はその後、カルト信者のような2人組に殺されそうになるなど恐ろしい目に合うのだが、その間、フィルムにはさまざまなトリックが仕掛けられている。この作品を鑑賞した夜、ショベルカーに追われ小屋に逃げ込んだが小屋ごと破壊され、坂道に誘い込んでなんとかショベルカーを転覆させて難を逃れるという悪夢を見たが、私の潜在意識にもやはり不吉なイメージがインプットされていたのだろうか。。。

監督  デヴィッド・アミト/マイケル・ライシー二
出演  クリステル・エリング/ローワン・スマイス/シュウ・サキモト/ニコール・トンプキンズ/ダン・イストラテ/サーカス=シャレフスキ
ナンバー  58
オススメ度  ★★


↓公式サイト↓
http://antrum-movie.com/