こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ソニック・ザ・ムービー

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他者が知覚できないスピードで移動できる能力は、決して見せびらかしてはいけない。そう言い聞かされて育った少年は、誰も見ていないところでしか思いっきり走れない。積もりに積もった鬱憤はついに爆発し、彼は文明社会の脅威と認定されてしまう。物語は、異星から来た少年がマッドサイエンティストに追われる過程で、友情を育み夢を実現していく姿を描く。どこまで逃げてもドローンとAI車が追尾してくる。自慢の俊足も瞬間移動リングも圧倒的な科学力の前では風前の灯火。だが、旅の途中で培った正義感あふれる青年との信頼で、襲い掛かる危機また危機を乗り越えていく。深夜の野球グラウンドで、投手・打者・野手・走者を演じ分け、“ひとりベースボール” に興じるシーンが彼の深い孤独と未来への不安を象徴していた。

田舎町の洞窟に隠れ住むソニックは、住民へのいたずらで寂しさを紛らわせる日々。ある日、超絶パワーの使い過ぎで停電を引き起こし、ロボトニック博士に身柄を狙われる。

地元警官・トムに見つかったソニックは保護され、ロボトニックから匿ってもらう。尊大な態度のロボトニックを殴ったトムも恨みを買い、ソニックの “どこでもリング” を取り戻すためにサンフランシスコを目指す。地球脱出を図るソニックは、道中やりたいことリストを作り、トムの協力でひとつずつ実行していく。それは、親代わりのフクロウと死別して以来ずっとひとりで生きてきたソニックの切なる願い。親身になって相談に乗ってくれる人がいる。真剣に心配してくれる人がいる。他人との触れ合いがいかに人生を豊饒にするかを彼らの関係は教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

サンフランシスコでリングを回収したソニックの前に、またもやロボトニックが立ちはだける。超スピーディな追いかけっこの後、トムとの連係プレーでロボトニックを迎え撃つソニック。CGで再現されたソニックは人間以上に表情豊かで、いちいち感情を言葉で説明する。いかにも小学生低学年向け仕様だが、ジム・キャリーの大仰な演技は楽しめた。

監督  ジェフ・ファウラー
出演  ジム・キャリー/ジェームズ・マースデン/ティカ・サンプター/ベン・シュワルツ
ナンバー  97
オススメ度  ★★*


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https://sonic-movie.jp/