こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

DUNE デューン 砂の惑星

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昼間は日差しが強く土埃が舞う。夜は大小ふたつの月が天に浮かぶ。水はほとんどなく、巨大な人食い生物が砂の海を自在に泳ぐ。物語は、過酷な自然環境の惑星を統治するために送り込まれた一族が壮大な陰謀に巻き込まれ、父の遺志を継いだ息子が戦う決意を固めるまでを描く。突然の改易には裏がある。罠と知ってなお断れない。最高権力者への忠誠を試されると同時に、ライバルの思うつぼにはまる。そんな父を目の当たりにして、息子は運命から逃げようとするが、受け継いだ血がそれを許さない。8000年以上も先の話なのに、いまだカネや権力を巡って殺し合いを繰り広げている。精神性は現代よりむしろ退化している敵役が人間臭かった。土色と無彩色に支配された世界で唯一輝きを放つ砂漠の先住民の青い目が、彼らの強固な意志を象徴していた。

貴重なスパイスを産出する惑星・アキラスの統治者となったアトレイデス家はハルコンネン軍の奇襲を受ける。当主が暗殺されジェシカとポール母子は捕らえられるが、敵の心を操って危機を脱する。

アキラスの砂漠と都市は壮大なスケールで再現され、気候に恵まれた地域に住む快適さを再認識させてくれる。特に防護スーツは外気から身を守るだけでなく、体内から出た水分を再利用できる優れもの。トンボ型飛行機はエネルギー効率が悪そうだがこの星の気候に適応しているのだろう。防御シールドはポータブルで使いやすい。女系に伝わる秘技をポールが体得しているなどジェンダーフリーを意識した設定も忘れていない。一方で通信手段は原始的。“すごい” と “たいしたことない” が混在する未来、その圧倒的なビジュアルにしばし心を奪われた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

アキラスの先住民・フレメンの元に亡命したジェシカとポール。ポールは彼らから救世主と期待され、何度も予知夢に出てきた女・チャニとも出会う。高貴な身分の若者がすべてを失い、放浪の中で成長し大きな成果を上げるという展開は予想できるが、母との密着度の高さはまだ明かされていない謎を期待させる。

監督     ドゥニ・ビルヌーブ
出演     ティモシー・シャラメ/レベッカ・ファーガソン/ オスカー・アイザック/ジョシュ・ブローリン/ステラン・スカルスガルド/ゼンデイヤ/シャーロット・ランプリング/ジェイソン・モモア/ハビエル・バルデム/チャン・チェン/シャロン・ダンカン=ブルースター
ナンバー     186
オススメ度     ★★★


↓公式サイト↓
https://wwws.warnerbros.co.jp/dune-movie/