こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ビルド・ア・ガール

 

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小柄で太めでダサ眼鏡。読書好きが高じて頭の中はいつも空想だらけ。文章を書くのは大好きで将来は作家志望。でも現実は甘くなく、学校ではイジられる日々が続く。物語は、外見はイケていなくても気持ちだけは驚くほどポジティブな少女が、過激な体験を通じて、夢を追う輝きと他人への思いやりを学んでいく過程を描く。根拠もなく自信に満ちているが周囲の評価がついてこない。一度くらいの失敗ではめげず、何度でもチャレンジする。押しが強く相手が肯首するまであきらめない。いささか自己チューで迷惑な存在なのだが、自分が美人ではないことは理解していて “女” を武器にしていないところがほほえましい。色濃く残る社会の「階級」を乗り越えてのし上がるには、これくらいの行動力と胆力が必要とこの作品は教えてくれる。

ロック紙からバンド批評の依頼を受けたジョアンナは豊かな表現力で実力を伸ばしていく。初めてのインタビュー相手・ジョンに気に入られ、ライブの後に彼の身の上話を聞かされる。

ジョンについて書いたラブレターのような原稿はボツにされ、代わりにジョアンナは辛口批評家に転身する。売り出し中のバンドを片端から辛辣の言葉でけなした記事は読者に受け、ジョアンナは仕事を増やしていく。業界で賞を取ると彼女の鼻はますます高くなり、学校をやめると宣言する。一方で、産後鬱の母は、彼女の収入を当てにするようになり、仲の良かった家族の間にも罅が入る。突飛な行動にも文句を言わず付き合った父に対しても反抗的な態度をとる。このあたりのジョアンナの直情径行は、まだ本格的な挫折を知らないが故の傲慢さが生んだのだろう。もう少しコミカルな味付けの方が共感できたかも。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ジョンに再会したジョアンナだったがあっさり袖にされる。ジョンはジョアンナに恋愛感情はない。人間は外見より内面と信じたい人もいるが、やはりジョアンナに性的な魅力はない。恋をしたいのならばせめて標準体型にまで痩せるべき、そうすればリアリティが出たはずだ。

監督     コーキー・ギェドロイツ
出演     ビーニー・フェルドスタイン/パディ・コンシダイン/サラ・ソルマーニ/アルフィー・アレン/ローリー・キナストン/エマ・トンプソン
ナンバー     196
オススメ度     ★★*


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