こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

こんにちは、私のお母さん

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器量は悪いしボディも太目、子供のころは勉強ができたけど、今は志望校にも不合格。いつまでたっても出来損ないの自分は、いったい母を喜ばせたことがあっただろか。物語は、独身時代の母の元にタイムスリップした少女が、母の人生をもっと幸せなものにしようと奮闘する姿を追う。かつての母は輝くほどの美しさだった。負けず嫌いでライバルとは常に争っていた。父と結婚したせいでその後は運勢も右肩下がり。ならば、将来有望な若者と恋に落ちれば母の運命も変わっていくはず。そう考えた少女はあの手この手で二人をくっつけようと奔走するが、人の心は簡単には動かせない。開放政策が始まったばかりの中国の地方都市、人々は共産党の指導と日々の労働に価値観を見出している。一方で物質的豊かさにも貪欲になった。1台のTVが時代の変わり目を象徴していた。

2001年から1981年にタイムスリップしたシャオリンは若き日の母・ホアンインと出会う。早速彼女と友人になり工場主催のバレーボール大会に出場、ホアンインは工場長の目に留まる。

工場長が持ってきたのは息子・グアンリンとの見合い話。ホアンインがグアンリンと結婚すれば裕福になれると思ったシャオリンは、気の進まないホアンインを無理やりグアンリンとデートするように仕向ける。だが、神の見えざる手が動いているかのようにことごとく失敗。過去を変えるのは現在の自分を否定すること、シャオリンが引き起こす騒動とその顛末はもっと自信を持てと訴える。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、コメディタッチで描かれるそれらのエピソードは、ディテールに対する掘り下げが甘くまったく面白くなかった。中国人とは笑いのツボが違うからなのか、TV行列の順番争いと障害者偽装、バレーボールを味方に当てる、映画館の席順、ボートでの危機、スベりまくるステージなど、使い古されたネタばかりで新鮮味がない上に共感すべき点が見いだせない。まあ、ラストのどんでん返しだけはよく練りこまれ、娘の思いを受け止めようとする母の愛が熱いほど伝わってきたが。

監督     ジア・リン
出演     ジア・リン/チャン・シャオフェイ/シェン・トン/チェン・フー/リウ・ジア
ナンバー     7
オススメ度     ★★


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