こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アンチャーテッド

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空中に放り出された貨物をベルト伝いにさかのぼり輸送機まで戻ろうとする若者に次々と襲い掛かる傭兵たち。手を離せば即落下、スリルを楽しむかのようなプロローグにいきなりくぎ付けになる。物語は、大航海時代の秘宝を巡ってトレジャーハンターたちがしのぎを削る姿を描く。残された手掛かりは黄金の鍵。一対そろわなければありかはわからない。NYのオークション会場、バルセロナの古い教会、フィリピンの小さな島々etc. 一匹狼の泥棒がベテランとコンビを組み、さらに美女も絡んで繰り広げられる活劇の波状攻撃は息つく暇も与えない。主人公を演じたトム・ホラントの身体能力の高さと手先の器用さは童顔に似合わない洗練を見せ、タフネスを売りにするマーク・ウォルバーグと絶妙のマッチングを見せる。

スリの腕前を見込まれて、サリーからマゼランの財宝探しに誘われたネイト。まず2人はNYで競売にかけられた鍵を盗もうとするが、モンカーダ一味に行く手を阻まれる。

2本目の鍵を手に入れるためにバルセロナに飛んだ2人はクロエと協力、財宝のありかを記した地図を探す。NYの近代的建物で繰り広げられる広い空間を使ったスピーディなアクションとは対照的に、教会の地下に潜り込んだネイトとクロエは狭くて暗く圧迫感の強い環境で苦戦を強いられる。まるで迷路のような先が見通せない隘路、女殺し屋の襲撃と水責め、危機また危機の連続は完全に思考停止状態にさせてくれる。さらに繰り返される裏切りと欺瞞。本当の敵は誰なのか、味方と思った者を信頼できるのか。財宝の輪郭が見えてくるにつれ人間関係は混とんとし、まったく予断を許さない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、ちりばめられた要素はすでに過去の同類映画で見たような仕掛けが多く、オリジナリティに乏しい。カメラワークも凡庸で、ネイトやサリーが体験する、目くるめく感覚があまり再現されておらず、体感型ムービーになっていないのが残念。財宝そのものに呪いがかけられていて、超常現象とも戦うくらいの工夫は欲しかった。通俗的だが。

監督     ルーベン・フライシャー
出演     トム・ホランド/マーク・ウォールバーグ/ソフィア・アリ/タティ・ガブリエル/アントニオ・バンデラス
ナンバー     34
オススメ度     ★★*


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