こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ウォーハント 魔界戦線

吊るされた敵の死体は血が抜かれていた。生き残りは言葉を失っていた。奇妙な風車小屋では美女が湯浴みしていた。まっすぐに進んだはずなのに元の場所に戻っていた。物語は、敵地に墜落した輸送機の機密文章を回収に向かった小隊が魔女の犠牲になっていく過程を描く。永遠の命を手に入れる方法が記された古文書は実在した。それを手に入れようとした敵は全滅した。自分たちも同じ運命をたどるかもしれない。恐怖におののきながら正体不明の女にひとりまたひとりと兵士たちが狩られていく。昼なお暗い深い森、カラスが不気味な姿を見せる。夜は漆黒の闇、見張りに立ってもほとんど何も見えない。そんな状況で兵士たちは正気を失い、命を落としていく。ただ、圧倒的に光量不足の映像は、中身のなさを隠しているとしか思えなかった。

1945年ドイツ、米軍のブリューワー軍曹が率いる救出部隊にウォルシュが加わる。彼は密命を帯びていて、他の隊員とは距離を置いている。その後、哨戒に出たラッカーは美女と出会う。

森はまだドイツ軍支配地域。小隊は当然ドイツ軍の襲撃をうける。下生えや倒木に足を取られそうになりながらも応戦し、ドイツ軍を制圧するが、その交戦シーンは緊迫感に乏しく、カメラワークも凡庸。現代の作品とは思えないほどの安っぽい銃撃戦だ。さらに進むと魔女とその侍女と思しき女が彼らを待ち伏せている。時に数十羽のカラスに姿を変え森の中を自在に移動するが、なんのひねりもない変身ぶり。捕まえた野ブタを丸焼きにして食べるシーンだけは衝撃的だったが。。。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

コンパスが効かない森の中、特殊な計測器で風車小屋の位置を割り出したウォルシュは、彼に命令を下したジョンソン少佐と共に突入する。彼らはその地下で魔女たちとバトルを繰り広げるのだが、松明のもとで繰り広げられる格闘はよく目を凝らしても何が起きているのかわからない。まともな映像作家ならひとつくらい伏線を張ってこのクライマックスで回収するはずだが、そんな気の利いたことも起こらなかった。

監督     マウロ・ボレッリ
出演     ミッキー・ローク/ロバート・ネッパー/ジャクソン・ラスボーン
ナンバー     97
オススメ度     ★★


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