こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・フラッシュ

ビルが崩壊する。多数の新生児が転落する。常人の数百倍の速さで動き回れる彼は、落下する赤ちゃんたちをすべて無事着地させる。ヒーローとしてやっと一人前の活躍ができるようになった。だが、母を死なせた後悔は大きくなるばかり。物語は、殺人事件の被害者となった母を助けるために過去を改変した若者が直面する危機を描く。若いころの自分と出会ってしまった。導いてくれるはずの先輩ヒーローは年老いて引退している。常識も少しずれていて大ヒット映画の主演俳優が違っていたりする。もう元に戻らないのか。運命を変えてしまった責任は誰が取るのか。大流行中のマルチバースをテーマに主人公が時空の坩堝を渡り歩く姿は、禁断の実を口にする人間の弱さが凝縮されていた。それにしても「スパイダーマン」のアイデアをパクりすぎていないか?

父の冤罪を晴らし、母の命を助けるために事件当日にタームリープしたバリーは、そこでまだフラッシュになる前の若い自分に出会う。折しもゾッド将軍の軍団が地球を侵略してくる。

超速力を失ったバリーは若バリーに超速力を身につけさせ、ゾッド将軍と闘うための仲間集めを始める。最初に頼ったバットマンは自分のバースとは別人。すっかり髪が白くなり手入れのされていない豪邸で隠棲する彼の顔を見て、懐かしさのあまり思わず息をのみこんだ。三輪バイクで爆走するバットマンよりも独特の格闘スタイルを持つバットマンの方がやっぱりスタイリッシュだ。そして3人は最も頼れる仲間・スーパーマンを捜しにシベリアの要塞に向かう。そこでもバットマンはマントを翻して滑空したり、グラップルガンで重力に逆らったりと、得意技で場を支配する。完全にバリーから主役の座を奪っていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

スーパーガールを仲間に加えてバリーたちはゾッド将軍の軍団に挑む。ただ、タイムリープを繰り返すなど戦法は単調でなんでもありの様相を呈してくる。ジョージ・クルーニーバットマンはイマイチだっただけに、ニコラス・ケイジのスーパーマンを見たくなった。

監督     アンディ・ムスキエティ
出演     エズラ・ミラー/サッシャ・カジェ/マイケル・シャノン/ロン・リビングストン/マリベル・ベルドゥ/カーシー・クレモンズ/マイケル・キートン/ベン・アフレック
ナンバー     111
オススメ度     ★★*


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