こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マーベルズ

敵を待ち伏せするために訪れたのは、豊かな水と緑に満ちた平和な惑星。人々はカラフルな衣装を身にまとい、言葉によるコミュニケーションはすべて歌で交わされている。ヒロインは王子と踊りながら歌で複雑な事情を説明し、交渉する。絢爛豪華かつユニークなオペラの世界にいざなわれた気分になる音楽と躍動感に満ちた映像には、口をあんぐり開けたまま見入ってしまった。物語は、瀕死の母星を再興するために他惑星の資源を略奪する女王と、それを阻止しようとする女戦士3人組の激闘を描く。女戦士のリーダーはかつて女王が支配する星の中枢を破壊し、女王とその部下から殺戮者と恐れられ憎まれている。そんな時手に入れた強大なパワーを持つ腕輪。主人公の正義が正しいとは限らない、そんな価値観の相対性がよりカオスを招く。

ワープのためのジャンプポイントに触れたモニカは、量子もつれと絡みを起こしてしまい、キャロル、カミラの3人の間で瞬間入れ替わりを体験する。3人は集合して対策を練る。

宇宙空間、宇宙船内そしてNYのカミラ宅。それぞれに敵が現れ彼女たちと闘うが、彼女たちの意志とは無関係かつランダムに入れ替わりが起きるため非常に動きが目まぐるしい。ひと段落した後、入れ替わりを制御するために意思の疎通を図ろうとするが、仲間なんか必要としていないキャロルの面倒くさいものを背負い込んだ表情が笑いを誘う。一方でハラ星の女王ダー・ベンは着々と母星復興計画を進め、自らが掘り当てた腕輪の片割れを持つカミラに狙いをつける。このあたり、カミラが腕輪の片割れを自分が持っているとダー・ベンに告げなければもう少し違った戦い方があったはずだが。。。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

全体的に格闘シーンや戦闘シーンは派手さ奇抜さばかりを追い求め既視感のある演出ばかり。登場人物の苦悩や葛藤も浅く、感情移入もできない。壮大な宇宙のビジュアルも神秘的な美しさを感じさせてくれることはない。どうせなら、マーベルユニバース初のミュージカル映画にするくらいの開き直りがほしかった。

監督     ニア・ダコスタ
出演     ブリー・ラーソン/テヨナ・パリス/イマン・ベラーニ/ ゾウイ・アシュトン/パク・ソジュン/サミュエル・L・ジャクソン
ナンバー     205
オススメ度     ★★


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