こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ジャックと天空の巨人

otello2013-03-26

ジャックと天空の巨人 JACK THE GIANT SLAYER

監督 ブライアン・シンガー
出演 ニコラス・ホルト/エレノア・トムリンソン/スタンリー・トゥッチ/イアン・マクシェーン/ビル・ナイ/ユアン・マクレガー
ナンバー 69
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

いきなり芽吹いた魔法の豆は瞬く間に成長し、巨大な根は大地を引き裂き太い蔓は家を貫いて空高く先端を伸ばす。身長10メートルはありそうな巨人は粗野で下品だが狡知にたけ、人間を食べるために襲ってくる。有名なエピソードの“その後”を3D化した映像はスリルと迫力に満ち、自ら運命を切り拓く冒険の末に未来をつかむ展開は手に汗握りつつも、子供にも安心してみせられるだろう。映画は、再び豆の蔓で地上と結ばれた巨人の国へと渡った主人公が、さらなる災難を持ち帰る過程で愛と勇気を身に付けていく姿を描く。目の前の敵対者が突然ひれ伏すシーンに “象徴” が持つ権威が集約され、尊敬や畏怖の本質とは何かを教えてくれる。

町に馬と荷車を売りに来たジャックは追われている修道士から豆を預かる。豪雨の夜、一人で家にいると王女のイザベルが訪ねてくるが、その時に床下に落とした豆が発芽、イザベルは天空の国に連れ去られる。

イザベル救出の使命を帯び天空に国に登ったジャックは彼女の奪還には成功するが、同行者の姦計にはまった上に巨人に豆を奪われ、逆に巨人たちに下界への道を開いてしまう。巨人たちもまたも知性を備え人間同様個性的で、感情や表情は非常にリアルに再現されている。中には同朋を裏切って人間に味方する者が現れるのではと思わせるほど巨人社会における“対人関係”は複雑。このあたりもっと深く掘り下げていれば物語にも奥行きが出たのだが。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて蔓を伝って大挙降下してきた巨人たちは王宮を攻める。籠城し火炎やボウガンで応戦する人間に対し、火のついた巨木を城内に投げ込む巨人たち。しかし巨人側の戦術はアイデアに乏しく、体格にものを言わせた力任せの攻撃ばかりで単調なのは否めない。人間側ももう少し知恵を絞って、彼らが仲間割れをするような謀略を練り、人間がいかに恐ろしい生き物かを思い知らせ戦いを挑んだことを後悔させるくらいの工夫が欲しかった。おとぎ話の教訓として。。。

オススメ度 ★★

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