こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

L・DK ラブ同居!

otello2014-03-13

L・DK ラブ同居!

監督 川村泰祐
出演 剛力彩芽/山崎賢人/中尾明慶/岡本玲/高島礼子/福士誠治/桐山漣/石橋杏奈/白石美帆
ナンバー 55
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

学園一のイケメン男子と思わぬ成り行きで同じ部屋で暮らす羽目になった初心な少女は、最初は戸惑い、次に反発し、やがて彼を理解するうちにいつもそばにいてほしいと思い始める。フツーの女子高生にとっては妄想に近い設定ながら、ヒロインを演じる剛力彩芽のコミカルなハイテンションが見る者を作品世界に引きずり込んでいく。弾けるような瑞々しさに満ちた映像は躍動感にあふれ、障害にもめげずに恋を追う若者たちの姿は清々しい。その過程で、初めて父親以外の男が家にいる違和感と、学校にばれたら退学になる状況で己の不運を嘆きつつも、彼女は他人を愛するとはどういうことかを学ぶのだ。

柊聖の部屋を水浸しにしてしまった葵は、仕方なく彼を自分の部屋に住まわせる。柊聖の無遠慮でもどこか寂しげなところにも魅かれる葵の前に、柊聖の元カノ・桜月が現れ、ときめきかけた葵にくぎを刺す。

意地悪で図々しい奴、第一印象最悪の柊聖が意外に優しかったり繊細だったり頑張り屋さんだったと知ると、葵は徐々に警戒を解く。だが、桜月が原因でできた心の壁を柊聖はなかなか崩さずそれ以上距離は縮まらない。それでも同居が長引くうちに、好きなはずじゃなかったのにいつのまにか彼を好きになっている。そして理性では抑えきれない気持ちを持て余す葵は、“一緒に笑っていたい”という精一杯の柊聖の告白でさらに心を乱されていく。正直になりたいけれど認めたくもない葵の乙女心と、柊聖を追い詰めているのを知っていても彼をほかの女に取られたくない桜月の嫉妬が激突し、ますます柊聖を苦しめていく。そのあたり、3人の揺れ動く感情が切なさを誘う。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

もはやお互いの間に入った亀裂は修復不可能と、柊聖は葵の部屋を出る。“恋が叶う”といわれている七夕の花火大会に葵は大学生の三条と出かけるが、柊聖への思いは消せない。横浜の夜空をバックに繰り広げられるロマンティックな恋の狂騒曲は、ハート形の花火同様、甘い気分にさせてくれた。

オススメ度 ★★*

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