スーパークロス SUPERCROSS
ポイント ★*
DATE 06/8/29
THEATER アウラスクリーニング
監督 スティーブ・ボーヤム
ナンバー 140
出演 スティーブ・ハウィ/マイク・ボーゲル/ソフィア・ブッシュ/キャメロン・リチャードソン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
砂、泥、雑草、デコボコ・・・人の手が入っていない悪路をオフロードバイクで思い切り駆け抜ける。時に木の根にハンドルを取られぬかるみタイヤを突っ込んだりするが、小山を利用してのジャンプは大地の息吹をサスペンションを通じて感じる喜びを全身で表現しているようだ。2人の兄弟の「バイクが大好き」という気持ちはすごく伝わってくるシーンで映画は始まるが、その後に繰り広げられるのは若者の夢と挫折、そして栄光を勝ち取るまでの陳腐な物語。しかも構成も演出も雑で、レースシーンの臨場感にも乏しい。
オフロードバイクのレーサーを夢見るKCとトリップの兄弟。あるレースで好走したことから兄のKCはバイクメーカーのチームにスカウトされる。一方、トリップは独立系チームから参戦、やがて兄弟が同じレースで激突する。
慎重で思慮深い兄のKCと短気で無思慮な弟のトリップ。兄が成功の階段を上り始めたことから仲のいい兄弟の間に亀裂が入る。しかし、分別あるKCに対しトリップの態度はあまりにも子供じみている。本来、一人の人間が持つ二面性を無理やり分けて兄弟のキャラクターとして振り分けたことに始まり、彼ら2人の恋人やバイクメーカーのスタッフや先輩レーサーなどの人物像も通俗的とくれば、そこで描かれるのもどこかで見た話ばかり。どうしてもっとバイクのディテールにこだわらないのだろう。
たとえばレースシーンでも車載カメラでライダーが感じる高揚感やスリル、一瞬の判断ミスでクラッシュするなどというシーンも撮れたはず。また、バイクのチューニングやレースで勝つための戦術など、もっときめ細かく突っ込んだ描写をするべきだろう。だいたい、あの程度のレースシーンならテレビの実況中継でも見られる。せっかくスーパークロスという面白い題材なのだから、ここで「誰も見たことのないカメラワークを見せてやろう」という意気込みを見せてほしかった。もちろんCGなしで。