こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブラッド・ウェポン

otello2013-01-07

ブラッド・ウェポン 逆戦

監督 ダンテ・ラム
出演 ニコラス・ツェー/ジェイ・チョウ/リン・ポン/バイ・ビン/アンディ・オン
ナンバー 3
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

対テロリストの本格的な戦闘から街中での派手な銃撃戦とカーチェイス。逃亡と追跡が繰り返され謀略と愛憎が複雑に絡み合う。さらに味方の中に敵がいて敵の中にも反逆者がいる。そんなはぐれ者同士が協力しなければ生き延びることができない状況で、2人の男は追い詰められつつも反撃のチャンスをうかがう。警官としての正義感と兄への思い。組織への忠誠と親子の情愛。欲望と裏切りが渦巻く大都会、映画は相反する立場で再会した兄弟に降りかかる過酷な運命をノンストップアクションで描く。その圧倒的な臨場感は瞬きを忘れるほどの緊張感を孕み、生身の格闘シーンは痛みを覚えるほどだ。

任務中に重傷を負った国際警察のジョンは余命2週間と宣告され、幼少時に生き別れた父と兄に会うためにクアラルンプールに行く。そこで新種ウイルスの強奪を目論む犯罪者・ヨンと出会い強引に巻き込まれていくが、ヨンこそがジョンの兄だった。

ジョンはヨンを自首させようとするが、娘を人質にとられているヨンはウイルスをテロリストに渡そうとする。地元警察はテロリストに買収されてジョンも共犯者にされてしまう。しかもテロリストはジョンの元同僚で、拉致された女科学者の身柄も守らなければならない。ジョンとヨンに課された二重三重の足枷、迫りくる危機また危機、謎が謎を呼び事件の全貌がなかなか見えてこない展開のなかで、信じられるものは血のつながりだけという中国人の家族観が浮き彫りにされていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

裁判所の厳重な警備や警察の包囲網をいとも簡単に突破するヨンの神出鬼没、防弾ベストを着用しているとはいえ被弾も刃傷も打撲もものともしないジョンのタフネス。その上でヘリコプターを乗っ取り、貨物船でクライマックスを迎える。だがここまで来ると、彼らの破壊と殺戮はたとえ悪党相手でも暴走気味で、2人が共に力を合わせて襲い掛かる敵を粉砕していく過程に現実感がなくなっていく。もう少し兄弟がお互いを理解し合う時間もつくるべきだろう、永遠の別れが来る前に。。。

オススメ度 ★★*

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