こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

プラダを着た悪魔

otello2006-11-23

プラダを着た悪魔 THE DEVIL WEARS PRADA


ポイント ★★★*
DATE 06/11/19
THEATER 109シネマズ港北
監督 デビッド・フランケル
ナンバー 200
出演 メリル・ストリープ/アン・ハサウェイ/エミリー・プラント/スタンリー・トゥッチ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


地球は自分中心に回っていると信じているようなカリスマ編集長は一見、公私混同の無理難題を部下に命令する。しかし、それはあくまで部下の優秀さややる気と根性を試しているのだ。そのわがままに耐えてこそ世界一のファッション誌で働くことを許される。彼女に認められるということは成功への欠かせないステップ。いつも苦虫を噛み潰したような表情でスタッフをにらめつけるこの鬼編集長を、メリル・ストリープが圧倒的な貫禄で演じる。尊大さ、傲慢さ、そして時代をリードする抜群のセンス。流行を発信する組織を操るリーダーに必要な資質を、サングラスに白髪・プラダを身につけることで見事に演出している。


ジャーナリスト志望のアンディはNYで「RUNWAY」というファッション誌のアシスタントに採用される。そこはミランダという絶対的な編集長が支配する王国。アンディはミランダにこき使われるうちに、ファッション誌業界の奥深さに触れていく。


ファッションに敏感な女の子の憧れの編集部なのに、アンディ自身はファッションを見下している。そんな彼女に、いかにファッションが世間に影響を与え、世の中を変えてきたかを力説するミランダ。アンディに結果を出さなければならないプロとしての厳しさと、華やかなイメージのウラにはセンスを磨くための膨大な努力が必要であることを教える。アンディが仕事意識に目覚める過程で、外見もファッショナブルに変身して行くところが楽しい。


一方のミランダは仕事のせいで家庭は崩壊寸前。パリのホテルで夫との別れ話をアンディにするシーンでは、すっぴんの目元に哀しいシワが刻み込まれていて、彼女の仕事との成功に逆行するような家庭の不幸せをワンシーンで表現する。彼女も血の通った人間であり、決して仕事のことしか考えていないのではないということを物語る。自分を捨てたアンディの推薦状を書くなど、彼女も本当は気配りのできる人間であることをきちんと描いていて好感が持てた。


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