こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

僕等がいた・後篇

otello2012-04-24

僕等がいた・後篇

オススメ度 ★★★
監督 三木孝浩
出演 生田斗真/吉高由里子/高岡蒼佑/本仮屋ユイカ/小松彩夏/柄本佑/比嘉愛未/須藤理彩/麻生祐未
ナンバー 99
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

相手の事を思うがゆえに自分の気持ちに素直になれず、遠回りするふたり。負担をかけまいと姿を消した男と、忘れようとしてもふっきれない女。「好きだ、バカ」とストレートに口にできた高校時代は記憶の彼方に遠ざかり、今は親・友人・仕事といった様々なしがらみに縛られている。恋や友情、人間関係に悩んでも生活の心配をしなくて済んだ時は過ぎ、現実の前で夢を奪われ愛が押しつぶされていく、そのリアルで切ない運命が甘美な映像に切り取られていく。

3年前に消息を絶った元晴を待ち続けている七美は東京の大学で就活中だったが、元晴の親友・竹内に言い寄られている。ある日、竹内はなぜ元晴と突然連絡が取れなくなったか七美に話す。

元晴は東京に転校後、母のリストラ・病気で徐々に金銭的に追い詰められていく。それを、受験を控えた七美に知られたくない。どうにもならなくなった時、避けてきた山本が現れ、彼女に頼られることで何とか希望をつないでいる。他人に優しくありたい、だがその優しさが優柔不断となり己の弱さをさらけ出し、いつしかいちばん大切なものを失ってしまう。そんな元晴の不器用さと苦悩につい共感するとともに、煮え切らない態度に少しイライラしてしまった。心の声に従う若者らしさを一切見せず、自ら進んで不幸を背負いこむ彼の生き方は、結局周囲を振り回して不幸を伝染させるばかり。優しさは時として残酷さとなりうることを、元晴は身をもって証明する。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて再会した七美と元晴、すぐにでもお互いに抱きしめたいのに、ここでも自制するだけでなく、ふたりの間に出来た溝を埋めず逆に美しい思い出にしようとする。傷つきたくない、それ以上に傷つけたくないという思いが彼らの足を引っ張るのだ。愛おしくてたまらないが行動に移す勇気がない、これが21世紀草食系若者の恋愛模様なのか。もっとガツガツしないと強い子孫を残せないぞとアドバイスしたくなった。。。

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