こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

GIRL ガール

otello2012-05-29

GIRL ガール

オススメ度 ★★*
監督 深川栄洋
出演 香里奈/麻生久美子/吉瀬美智子/板谷由夏/上地雄輔/要潤/林遣都/波瑠/加藤ローサ/向井理/壇れい 
ナンバー 131
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

もう若くはないけれど、まだまだこれからの思いもある。周囲の目も気になり、イタい女と思われたくない。29歳、そろそろ女子を卒業する潮時を迎えた女が、恋と結婚と仕事、そして何より「私らしく生きる」にはどうすべきかと迷う。映画は、会社でも私生活でもそれなりの地位を得た女たちが日々精いっぱい頑張りながらも、もしかしたら別の生き方もあったのではないかと疑問を持ち、答えを探して試行錯誤し、それでもやっぱり今を肯定しようとする姿を描く。40歳過ぎても臆面もなく自分たちを“girl”と呼ぶ「セックス・アンド・ザ・シティ」の下品なオバハンたちよりもよほど真摯に人生に向き合う姿勢が好感を持てる。

おしゃれ大好きの広告代理店勤務の由紀子、年上男性部下の扱いに煩わされるゼネコン管理職の聖子、販売と子育ての両立に追われるシングルマザーの孝子、一回り年下のイケメン新入社員に惹かれた容子の4人は、事あるごとに集まっては愚痴を言い合っている。

4人とも一応総合職なのだろう。子供のいる孝子を除き残業もいとわずバリバリ働く。オフィスでは年下の女子社員に華やかなポジションを奪われ、男並みの結果を求められている。責任は重くプレッシャーに押しつぶされそうだが、女だからと甘くみられるのはイヤ。特に初めての大型プロジェクトを任される由紀子は、38歳のキャピキャピ女先輩を、「あんなおばさんになりたくない」と思いつつ、いつまでも“ガール”でいる彼女に憧れを抱いていたりする。組織の理論で動く男社会とは一線を画し、己の「女としての感性」を第一に考える彼女こそ、由紀子の理想であり反面教師であるのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

いまだ社会にロールモデルが少ない日本のワーキングウーマンにとって「選択肢が増えた分、不自由になった」という言葉はぜいたくな悩みと同時に切実な現実。それは彼女たち、つまり「男と同等に扱われることを選んだ、会社ですべての働く女たち」の心を揺さぶり続けるに違いない。

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