アメイジング・スパイダーマン THE AMAZING SPIDER-MAN
オススメ度 ★★★
監督 マーク・ウェブ
出演 アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン/マーティン・シーン/サリー・フィールド/リス・エヴァンス/キャンベル・スコット/エンベス・デイヴィッツ
ナンバー 156
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
強靭な糸を手首から発射し、スイングしながら摩天楼の間をすり抜けていく。落下と上昇、加速と減速を繰り返すめくるめく感覚の3D映像は、遊園地のアトラクションに乗っているような重力と浮遊感を体感させてくれる。それは前シリーズ主人公の全身で自由と解放感を味わうかのごとき美しく優雅な飛翔ではなく、どこかまだ己のポテンシャルに戸惑っている硬さが残っている。物語は冴えない高校生が突然驚異的な身体能力を手に入れるとともに、父が遺した手がかりを探りアイデンティティを求めて戦いの中に身を投じる姿を描く。
幼いころ両親が失踪しベン伯父夫婦に育てられたピーターは、ある日父の研究ファイルを見つけ、父の同僚だったコナーズ博士を訪ねる。忍び込んだラボで蜘蛛に噛まれ、翌朝目覚めると、肉体が異常なパワーに漲っていた。
同級生に大人気ない仕返しをしベン殺しの犯人を捜して夜な夜なチンピラ狩りをするなど、ピーターは力の正しい使い道が分からず、自己満足や復讐を正義と勘違いする。さらにひとりでどんな問題も解決できると優越感を抱きガールフレンドのグウェンにいいところを見せようとする。ピーターにはメンターたる大人がいないせいで精神的な未成熟さばかりが目立つが、かえってそこが等身大の高校生らしくつい共感してしまう。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
コナーズ博士は爬虫類から抽出した再生治療薬を自らの右腕で実験するが、トカゲ怪人に変身してしまう。もちろん歪んだ野望ではあるが、コナーズは決して悪人ではなく、彼もまた医療の進歩を通じて世界に貢献しようとする科学者であるところが現代的。そしてトカゲ怪人とスパイダーマンがNYを舞台に大暴れ、その過程でピーターは多くの人々が自分に協力してくれると知り、他人を信用し頼ってもてもよいことを学んでいく。そのあたりの彼の成長がこの作品の見どころだろうが、特に新鮮味は感じなかった。それにしてもこのスパイダーマンは正体をさらしすぎだと思うのだが。。。