こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム

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空間が歪み並行世界とつながってしまう。かつて打ち倒されたヴィランたちが復活する。だが、彼らが敵と思っていた相手はまったくの別人。物語は、現実を変えようとして魔法に頼った青年がもたらした大混乱を、ヒーローたちが力を合わせて収拾する姿を描く。正体を隠して活動していたのに、素顔も本名もさらされてしまった。どこに行っても好奇の目にさらされる。図らずも有名人になってしまった彼は、自分の運命だけでなく恋人や親友の将来まで奪ってしまったことを深く悔やむ。その結果招いてしまった大きな災厄。背中から4本の人工触手を伸ばしたヴィランが、その制御を主人公に奪われあっさり拘束されるあたり、20年という時の流れの中での技術的進歩を象徴する。テクノロジーは常にアップデートしていないとすぐに時代遅れになるのだ。

ピーターは、自分とスパイダーマンを関連付ける出来事を人々の記憶から消す呪文をドクター・ストレンジにかけてもらうが失敗、マルチバースの扉が開きドク・オックが現れる。

同時にグリーン・ゴブリンも復活、スパイダーマンに変身したピーターを襲撃する。マスクを奪ったドク・オックがピーターの顔を見て驚くシーンが、我々が生きている宇宙は多元化した時空のひとつでしかないことを訴える。さらに、別のバースにも通じ、さながらヴィラン同窓会の様相を呈してくる。その過程で展開される目くるめく映像は、両目両耳のみならずあらゆる感覚を全開にして集中しないと把握しきれない圧倒的な情報量。知覚の限界を超えたイマジネーションを体感させてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

バースは違っても時の流れは同じ、すっかりオッサン顔になったトビー・マグワイヤも、きりりとしたイケメンになったアンドリュー・ガーフィールドも、懐かしさだけでなく郷愁すら感じさせる。これは、彼ら登場人物だけでなく、1作目から付き合ってきたすべてのファンの人生とリンクするサーガなのだ。アニメ版の「スパイダーバース」を見ていたおかげで、この作品の世界観が腑に落ちた。

監督     ジョン・ワッツ
出演     トム・ホランド/ゼンデイヤ/ベネディクト・カンバーバッチ/ジェイコブ・バタロン/アルフレッド・モリーナ/ジョン・ファブロー/ジェイミー・フォックス/ウィレム・デフォー/ベネディクト・ウォン/マリサ・トメイ/トニー・レボロリ/J・K・シモンズ
ナンバー     5
オススメ度     ★★★*


↓公式サイト↓
https://www.spiderman-movie.jp/