こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ラム・ダイアリー

otello2012-07-03

ラム・ダイアリー THE RUM DIARY

オススメ度 ★★
監督 ブルース・ロビンソン
出演 ジョニー・デップ/アーロン・エッカート/アンバー・ハード/リチャード・ジェンキンス
ナンバー 127
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

夜通し酒を飲んで、朝起きたらまた飲む。心地よい酩酊感を味わうのではなく、頭に靄がかかった状態を維持するためにアルコールを摂取し続けているかのよう。現実から目をそらすためなのか、酒豪ぶりを誇示するためなのか、単に意志が弱いだけなのか。結果として様々な場所で余計なトラブルを起こし、解決する手段も能力もなくただ周囲に甘えているばかり。映画は、そんな飲んだくれの新聞記者がちっぽけな正義感に目覚め、巨大疑惑を追う過程を描く。ところが、謎解きの期待感とは無縁で恋のときめきにも程遠く、「俺はこんな修羅場をかいくぐってきたんだ」と酔っぱらいが自分で語る武勇伝にしか見えない。まあ、そう考えると人間的でかわいらしくはあるが。

1960年、プエルトリコの新聞社に採用されたポールは、暇ネタの取材にうんざりしながらもこの島の貧困を取り上げたレポートを書き上げるが、編集方針に合わずあっさりボツ。ある日、リゾート開発を計画する実業家・ハルから好意的な記事を書いてくれと頼まれる。

警官への暴行で禁固刑を受けそうになったところをハルに救われたポールは、依頼を断れない。さらにハルの婚約者・シュノーにも横恋慕してしまう。その上、ハルの事業が怪しげなものと知るとジャーナリストの使命が芽生えだす。だが、カメラは彼の記者としての活躍には一切興味を見せず、ひたすら仲間と酒やドラッグに溺れる日々に向けられ、物語はいつまでたっても弛緩したままだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

実在したジャーナリストの手記を原作にしているのだが、そこには無頼派を気取る男の照れが見え隠れし、仕事上の自慢話を極力避けているようにも見える。それを映像化するならば、バカ話満載のコメディにするくらいの工夫はほしかった。また、ポールをはじめ彼の記者仲間がみな中年のオッサンなのはどうしたことか。もともと原作者の若いころの回想なのだから、現場に出る記者連中は若い俳優に演じさせるべきだろう。。。

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