こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

リターン・トゥ・ベース

otello2012-11-09

リターン・トゥ・ベース R2B

監督 キム・ドンウォン
出演 チョン・ジフン/ユ・ジュンサン/シン・セギョン/キム・ソンス/イ・ハナ/イ・ジョンソク
ナンバー 268
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

ジェット戦闘機を意のままに操り、大空を駆け巡る。人間が体験できる最速の領域で命がけのスリルを満喫する若きパイロットは勝気で向う見ず、その唯我独尊ぶりは軍人の枠をはみ出てしまう。だが抜群の操縦技術を上官たちは放っておかない。映画はそんな主人公が友情と恋、そして実戦の中で精神的に成長していく姿を描く。目を見張る曲芸飛行と成層圏からの自由落下、敵機との息詰まる空中戦までを自在にとらえた映像が超音速の世界を存分に堪能させてくれる。いまだ北朝鮮との戦争が“継続中”の韓国ならではの緊張感が、手に汗握るリアリティをもたらしている。

航空ショーで禁止技「ゼロノート」を披露したため飛行部隊を追い出されたテフンは戦闘飛行隊に配属される。そこでエースパイロット・チョルヒに鼻を折られたり、整備士のセヨンに言い寄ったりと青春を謳歌していた。そのころ、北朝鮮のミサイル基地では不穏な動きが活発化していく。

空では我が物顔にふるまうテフンも地上ではフツーの男。セヨンの気を引こうと必死になったり、デートに誘い出して迷子になったりとむしろ冴えない部分が強調され、コックピットでの精悍さとのギャップが人間味にあふれ時に笑いを誘う。他にも、先輩パイロットと同期の女パイロットの愛、へっぽこ整備士コンビなどを絡ませて物語に奥行きを付けようとする。それらのエピソードはいかにも韓国映画らしくコミカルな味付けが十分になされているが、その分テフンのキャラクターがステレオタイプになってしまったのが残念だ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて北朝鮮でクーデターが起き、反乱軍がICBMの発射準備を始める。敵地内に降下した仲間の救出とミサイル撃破のために選ばれたテフンとチョルヒは、2機で決死隊と組み北朝鮮に向かう。そこからは息詰まるスピードと耳をつんざく轟音でパイロットが感じる重力を体感させてくれる。これぞスクリーンならではの臨場感、「ゼロノート」の伏線もきっちり活かされていたのもうれしかった。。。

オススメ度 ★★*

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