こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

96時間/リベンジ

otello2012-11-14

96時間/リベンジ TAKEN 2

監督 オリヴィエ・メガトン
出演 リーアム・ニーソン/マギー・グレイス/ファムケ・ヤンセン/ラデ・シェルベッジア
ナンバー 276
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

愛する娘を傷つける奴らは容赦なくぶっ殺した。だが悪党どもの父親は、息子たちの命を奪われたのに対して見当違いな逆恨みを抱いている。映画は、前作で元工作員に子供たちを殺された人身売買組織のボスが復讐を誓い、今度は彼の家族ともども生け捕りを図る。迷路のようなバザール、入り組み曲がりくねった道路、家屋の屋上の細い通路など、イスタンブールの街並みで繰り広げられる追跡劇と短いカットでつなぐ臨場感たっぷりの格闘アクションはスピード感にあふれ、殴られても蹴られても撃たれても決してひるまない主人公の阿修羅のごとき力強さは大いなる父性を感じさせる。

イスタンブールでの仕事を終えたブライアンは別れた妻・レノーラと娘のキムを招待する。街に出たブライアンとレノーラは複数の男たちの尾行に気づき逃走するが、拉致されてしまう。監禁されたブライアンはホテルに残ったキムに指示を出し救出を促す。

移送中の時間と爆発音からアジトの位置をほぼ正確に割り出すテクニックはまさしくCIA仕込み。訓練し感覚を研ぎ澄ませばこんな高等戦術も可能なのか、銃器・武器の扱いや格闘技だけではない、危機からの脱出法も叩きこまれ臨機応変に対応するブライアンの能力に、どんなピンチでも冷静に打開策を考える精神的なタフネスが諜報員には必要であることをこのシーンは教えてくれる。また、街中で拳銃、手榴弾、タクシーなどで、破壊の限りを尽くすブライアンとキムを通じて米国人の奢りを皮肉るあたりエスプリも効いていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ひとり無事だったキムが自らブライアンを救うと宣言、庇を伝い屋根を走りハンドルを握る。もはやか弱い少女ではなく、父の血を引く勝気な娘。プロローグでは子離れできないブライアンだったが、両親を守るために戦う決意を見せたキムを見て“娘は自分なしでも生きていけると”得心、彼自身も成長する姿はまるでホームドラマだ。「無類の親バカなのにけた外れに強いオッサン」というキャラクターはいまやリーアム・ニーソンの当たり役となった。

オススメ度 ★★★

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