こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

フライト・ゲーム

otello2014-06-28

フライト・ゲーム Non-Stop

監督 ジャウム・コレット=セラ
出演 リーアム・ニーソン/ジュリアン・ムーア/スクート・マクネイリー/ミシェル・ドッカリー/ネイト・パーカー/コリー・ストール/ルピタ・ニョンゴ/オマー・メトワリー
ナンバー 144
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

飛行中の旅客機、姿なき脅迫者からの殺人予告を受け取った航空保安官は、図らずも指定時間に人を殺してしまう。しかも要求された身代金の振込先は彼の口座。綿密に仕組まれた罠なのか、時間稼ぎの猿芝居なのか、それとも娘を失って酒に溺れた主人公の精神が生み出した妄想なのか。パニック寸前の乗客は911のシチュエーションを重ねあわせ、地上では彼をテロリスト扱いし始める。映画は、乗客乗員の安全を守るべき立場の男が不審なメールを受信したのを機に起きる、虚々実々の戦いを描く。機内に犯人がいるのは確実なのにまったく見当がつかない状態で刻々と迫るタイムリミット、逃げ場のない閉鎖空間での焦りと苛立ちがリアルに再現される。センサーにテープを張れば禁煙のトイレでもタバコが吸えるとは驚きだった。

ロンドン行の飛行機に乗ったビルのスマホに、カネを払わなければ20分後に乗客を1人殺すというメールが届く。同僚のハモンドを問い詰めるが、逆に自作自演を疑われ、ちょうど20分経過したところでハモンドを死なせる。

狭いトイレの中に閉じこもる航空保安官2人。肘と手、掌底での打撃と関節・絞め技しか使えない窮屈な格闘シーンは派手さに欠ける反面、指先を効果的に使ってこういう場所を想定していない格闘術の欠点を補う。また、乗客たちが一斉にビルを取り押さえようとすると、圧倒的な圧力で数人を跳ね返す。生きることに疲れているが危険を察知すると急に強くなるオッサンをリーアム・ニーソンがうらぶれ感十分に演じていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

次に機長が殺され、乗客にも犠牲者が出る。ビルは乗客全員の身体検査をしスマホをチェックするが犯人の尻尾すらつかめない。さらにハモンドの荷物から爆弾がみつかり、時を刻んでいる。もはや自爆テロなのか、生還できる見込みはあるのか、そんな状況の中でも最後まであきらめず活路を見出そうとするビルの背中は、かつてジョン・ウェインハリソン・フォードが好んで演じた“頼りになる強い父”像を見事に継承していた。

オススメ度 ★★★

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