こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ガッチャマン

otello2013-08-30

ガッチャマン

監督 佐藤東弥
出演 松坂桃李/綾野剛/剛力彩芽/濱田龍臣/鈴木亮平/初音映莉子/光石研/岸谷五朗/中村獅童
ナンバー 211
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

突然上空から現れたかと思うと急降下し、流麗な体さばきで敵兵士を瞬時に倒す。さらにビルの壁面を駆け上り、宙を舞い、巨大なホイール型爆弾に挑む。映画は、中野から新宿にかけて仔細に再現された町並みで繰り広げられる壮絶な市街戦のプロローグで、一気に作品世界に引き込もうとする。しかしそこで展開される安っぽいアクションの数々は、TVの子供向け特撮ヒーロー番組の水準。わざわざカネを払って映画館に来た客に見せるレベルではない。そして肝心の“選ばれし戦士”も自分たちこそが人類の最後の希望という意識に乏しく、作戦遂行中に感情に流される始末。苦悩する等身大の若者としてさせたかったのかもしれないが、それを戦闘中にまで引きずるなど愚の骨頂だ。

ウィルスXに感染した人間はギャラクターに進化し、人類から地球を奪おうと戦争を仕掛ける。地球防衛組織は、健、ジョーら5人の“石”の力を操るエージェントをギャラクターに差し向ける。そんなとき、ギャラクターのNO.2イリヤが亡命してくる。

イリヤはかつてジョーの婚約者で、健とも幼馴染のナオミを殺した仇敵。健は私情より任務を優先させるが、ジョーは復讐にはやる心を抑えきれず暴走してしまう。他にも怪力自慢の竜が戦う意義を問うたりする。800万人に1人しかいない“石”の適合者としてギャラクターに立ち向かう使命のもと、子供のころから訓練されているはずなのに、このメンタルの弱さはなんなのか。全く理解できなかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

極めつけは唯一の女性隊員・ジュンの言動。健に恋し、いろいろちょっかいを出すがいつもあっさりスル―されている。非番ならそれもよいが、ミッション中でも恋愛モード丸出し。その上、身に着ける戦闘服を「醜いスーツ」とまで言ってのける。己の仕事にプライドを持てないやつに人類の命運を託してよいものだろうか? あの美しかったガッチャマンを貶めたのは、「誰だ!誰だ!誰だ!」と思わず叫んでしまった。

オススメ度 ★*

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