こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マッドマックス 怒りのデス・ロード

otello2015-06-05

マッドマックス 怒りのデス・ロード
MAD MAX: FURY ROAD

監督 ジョージ・ミラー
出演 トム・ハーディ/シャーリーズ・セロン/ニコラス・ホルト/ロージー・ハンティントン=ホワイトリ/ヒュー・キース・バーン
ナンバー 124
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

一面茶褐色の渇ききった荒野。砂埃をまき散らしながら爆走するトレーラーと、追走する装甲車の群れ。そこでは“死”は日常でしかなく、生きる理由の乏しい者は容赦なく殺されていく。もはや使われなくなって久しい「世紀末」という言葉がぴったりとはまる世界観を完璧にビジュアル化した映像は、ある種の様式美に昇華されている。さらに、悪党の館で囲われた出産装置扱いされる若い女や搾乳器をつけれれた乳母、名誉の死を願う戦闘員とエネルギー源の血を抜かれる男など、人間を消費材としか考えない崩壊したモラルがディテール豊かに再現される。物語は、水を支配する独裁者に仕える悪党集団に捕まった男が、反乱者と手を組んで希望の地を目指す道のりを描く。ひたすら砂漠でカーチェイスと破壊を繰り返す展開ながらユニークな戦闘法が次々と披露され、3Dの飛び出し感と共に圧倒的な映画体験となった。

ジョーを神と崇める集団に襲われたマックスは“輸血袋”として拘束され、謀反を起こしたフュリオサの追っ手に加わる。砂嵐の中で縛めを解いたマックスはフュリオサと合流、逃亡の手助けをする。

マックスは射撃に長けた元警官、痛みも苦悩も感じる人間に過ぎない。フュリオサはジョーの専横に怒り、彼の女たちを解放しようとしている。家族を奪われた過去を持つ2人はいつしか同志となり、ジョーに忠誠を誓う狂信的な戦闘員と戦う。それらのシーンでは、大地を揺るがす迫力の車両が次々と爆破され、疾走する車両の屋根やつなぎ目で格闘し、身をくくりつけた長棒のしなりを利用した攻撃など、視覚的な驚きに満ちていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて追っ手を振り切ったマックスたちは女バイク集団と遭遇、フュリオサが信じていた緑の地は幻と知らされる。ならば逃げるのではなく強奪するのみ、ジョーの本隊との最終決戦に向かう。悪をシュールに造形した想像力の限界を超えたアクションの数々は、今後様々な亜流を生むに違いない。

オススメ度 ★★★*

↓公式サイト↓