こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ネクスト・ゴール! 

otello2014-04-23

ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦

監督 マイク・ブレット/スティーブ・ジェイミソン
出演
ナンバー 92
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

歴史的大敗、FIFAランキング最下位。戦術的アイデアは乏しく技術は未熟、90分動けるスタミナもない。日本の高校生より劣るレベルのナショナルチーム、当然プロ選手は皆無でスポンサーもつかないアマチュアの集まり。そんな、負けに慣れた彼らに、ひとりの熱血監督が向上心を植え付ける。今まで2ケタ許していた格上チームのゴールを1ケタでしのいでは健闘をほめ、ライバルチームを後半無失点に抑えては進歩を喜ぶ。やがて彼らは勝負に対して貪欲さを持ち始めるまでになる。カメラは南洋的な気質のサッカー代表チームに密着、マイナスからの成長を追う。確かに大それた結果を出したわけではない、それでも人生の可能性は心の持ち方次第で大きく変化するとこの映画は教えてくれる。

W杯予選豪州戦で31-0の記録的スコアで全世界に恥をさらした米国領サモアチームに、オランダ人監督・トーマスが就任する。規律を重んじフィジカルを強化しチームプレーを説くうちに選手たちの目の色が変わってくる。

サモアの文化を理解しないコーチは選手と衝突する”とサッカー協会会長は口にする。一方で、サモア人はタフで勇敢という思い込みがチームを弱いままにとどめていることに気づいていない。もちろん彼らなりには努力しているつもりなのだろうが、トーマスには馴れ合いにしか見えない。時に声を荒げ叱咤し、気のないプレーには怒りを露わにする。米国に滞在経験のある選手を呼び寄せて競争心を呷り、刺激する。ごく当たり前のチーム運営だがサモア人にはカルチャーショック、しかしトーマスのやり方を受け入れた選手たちの胸に“負け犬卒業”の意欲が満ちていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

そして’14年W杯南太平洋予選が始まる。トップレベルとは比べるべくもない小さな勝利、だがそれは彼らにとって人生最大の成果だったはず。スポ根とは程遠いゆる〜い世界ながら、魂を込めれば文化や人種の違いを乗り越えて熱意は必ず伝わるとトーマスの背中は語っていた。

オススメ度 ★★★

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