こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マンデラ 自由への長い道

otello2014-06-11

マンデラ 自由への長い道
MANDELA:LONG WALK TO FREEDOM

監督 ジャスティン・チャドウィック
出演 イドリス・エルバ/ナオミ・ハリス/トニー・キゴロギ/リアード・ムーサ
ナンバー 134
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

自由と平等、それを勝ち取るまでは絶対にあきらめない。弱き者を言論で守ろうとした男は、銃の前での無力を思い知らされた後、過激な活動家として名を馳せる。長い長い服役でも闘志は衰えず、自らの主張を権力にぶつけていく。不屈の魂を持つ男 ネルソン・マンデラ、映画は彼の青年期から大統領になるまでの戦いに明け暮れた人生を追う。崇高な理性を目の当たりにした白人看守たちのマンデラに対する態度が徐々に改まっていく過程は、人種差別の不条理を自覚しているが反対する勇気がない人々の良識と苦悩を象徴していた。「人は憎むことを覚える、ならば愛することも学べるはずだ」という彼の信念は、怒りに荒廃した国には“赦し”がなければ真の平和は訪れないと訴える。

草原の小さな村で生まれたネルソンはヨハネスブルグで弁護士となり、反アパルトヘイト運動に身を投じリーダーとなる。黒人デモ隊に警官隊が発砲したのを機にネルソンたちは武力闘争に踏み切る。

若き頃のネルソンは成人君子ではなく、浮気・DVの常習者。一方で、彼のカリスマ的魅力が大衆を惹きつけ人気は絶大になっていく。だが、各地で爆弾テロを起こし逮捕され、27年にも及ぶ刑務所での生活が、再び彼に非暴力による変革の重要性を認識させる。ネルソンを支えた妻・ウィニーが先鋭的になっていくのとは対照的に、独房で沈思黙考を重ねたネルソンが対話路線に舵を切る姿に、大いなる目的のためには家族や同志との絆も時に犠牲にしなければならない苦しみがにじみ出ていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、釈放されたネルソンは武闘派を抑え人種間の共存を図ろうとするが、逆に発言力を増した黒人たちが不満を募らせる。理想に近づいたと思ったのに新たな憎悪が生まれる現実、黒人同士が殺し合うのを止められなかったネルソンの胸中はいかばかりか。それでも彼は粘り強く相互理解を唱え続ける。逆境と挫折が人間を鍛える、大統領となったネルソンに付き従う白人閣僚たちの表情が、彼の偉大さを物語っていた。

オススメ度 ★★★

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