こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゲッタウェイ スーパースネーク

otello2014-09-24

ゲッタウェイ スーパースネーク GETAWAY

監督 コートニー・ソロモン
出演 イーサン・ホー/セレーナ・ゴメス/ジョン・ヴォイト/レベッカ・バディグ
ナンバー 222
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

荒らされたアパート、誘拐された妻、謎の男からの電話。瞬時にヤバイ状況を理解した主人公は、仕方なくステアリングを握りアクセルを踏む。余分な説明を一切省いた導入部はスピーディな展開を予感させ、見る者を一気にスクリーンに引きずり込む。物語は妻を人質に取られた元レーサーが脅迫者に言われるままクリスマスの雑踏でスーパーカーを暴走させ、巨大な犯罪の片棒を担がされる姿を追う。使い捨てにされるのは分かっている、それでも乗り合わせた少女の機転と的確なアドバイスで次々と危機を克服するうちに反撃のチャンスをうかがう。テンポよい短いショットの連続は、手に汗握る緊張感と息をのむ疾走感を同時に味あわせてくれる。

ブルガリアのソフィアで引退生活を送っていたマグナは、妻の命と引き換えに改造マスタングを盗んで市内を走り回れと命令される。そこに、マスタングの持ち主という少女が乗り込み、マグナと行動を共にする。

人混みでにぎわう露店から古い建物の回廊や石作り階段と、古都の中心部を激走するマグナ。すべては車内カメラで監視され、妻の無事を確認するには謎の男の言いなりになるしかない。さらにパトカーに追われ、一般車両を巻き込み、ハイウェイから河岸まで、およそクルマが走行できるところはどこにでも乗り入れ、追跡車両を粉砕していく。このあたりやや大味なクラッシュばかりで、超絶ドライブテクニックよりもチキンレースを見せられているよう。もっとマグナ本人が体感する加速と横Gを再現してほしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてハイウェイを降りたSUVを発見したマグナは少女が監禁されていると確信、尾行を始める。マスタングのフロントグリルに固定されたカメラがSUVをとらえた映像は、もはや劇映画とは思えないリアリティ。信号を無視し、前方を横切るクルマを間一髪で躱し、逃げるSUVに迫っていく。数多のクルマが破壊されたシーンよりも、この数十秒に及ぶ1ショットの方が抜群の緊迫感を醸し出していた。。。

オススメ度 ★★*

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