こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ミュータント・タートルズ

otello2014-11-19

ミュータント・タートルズ
Teenage Mutant Ninja Turtles

監督 ジョナサン・リーベスマン
出演 ミーガン・フォックス/ウィル・アーネット/ウィリアム・フィクトナー/ウーピー・ゴールドバーグ
ナンバー 266
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

疾風のごとく現れて悪党どもをぶちのめし、瞬く間に去っていく。その身のこなしはまさに忍者、軽々とビル街を跳ね、下水溝に消える。一番の武器はチームワーク、4人が心を合わせれば怖いものはない。物語は、ニューヨークの支配を目論む悪の組織に立ち向かう正義のヒーローと彼らを追うジャーナリストの活躍を描く。めまぐるしく変わるカットは圧倒的なスピード感を生み、空間を自在に動き回るカメラワークは目くるめく浮遊感。さらに、表情豊かなカメたちの洗練された擬闘と、刀・ヌンチャク・棍棒などの武具の用法はカンフー映画を見ているよう。3Dで繰り広げられるノンストップ大活劇は激流に翻弄される小舟に乗っている感覚に襲われる。

TVレポーターのエイプリルは、深夜のコンテナヤードで謎のグループが泥棒を退治するのを目撃、取材を始める。現場に残されたシンボルから、彼らはかつてエイプリルの父の研究施設にいたカメの突然変異体と判明する。

カメたちに忍術を教えたネズミがまさしく“老師”然としていて貫録十分。深い洞察力と生きる知恵に富んだ風貌はヨーダに通じる。また、長い尻尾からの攻撃と防御はアイデアにあふれ、ユニークな格闘術を見せてくれる。一方でカメたちは血気盛んなティーンエージャーらしく、ポップスを聞きジョークも飛ばしながらも向こう見ずな冒険を好む。4人それぞれが個性的で自分の役割をわきまえつつ、兄弟を決して見捨てずピンチには力を合わせるなど結束は固い。そのあたり、単独ヒーローものの4倍の密度が楽しめる

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

巨大化したカメの話を誰にも信じてもらえないエイプリルは、カメラマンと2人で真相を究明しようとする。その過程で父の死の真実と巨大な陰謀を知る。NYを救うために雪上でトレーラーを暴走させるシーンは息をするのを忘れるくらいの刺激的ショットの連続、甲羅を効果的に使ったアクションはスリリングな中にもコミカルな味わいをもたらす。ラストまで疾走感の落ちないサービス精神たっぷりの作品だった。

オススメ度 ★★★

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