こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

寄生獣

otello2014-12-08

寄生獣

監督 山崎貴
出演 染谷将太/深津絵里/橋本愛/東出昌大/豊原功補/北村一輝/余貴美子/國村隼/阿部サダヲ
ナンバー 284
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

人間の脳に寄生し心身を支配する小さな生物は、人間よりはるかに高い学習能力で短期間で膨大な情報を吸収する。新たな進化の萌芽ともいえる彼らは、地球に増えすぎた人間の数を減らす明確な目的以外はバラバラの意志と個性を持っている。物語はやむを得ず右手に寄生してしまった生物と宿主である高校生のサバイバルを描く。彼らは人類の救世主となりうるのか、それとも人知れずバトルを繰り返すしかないのか。一つの体を共有する二つの心は、敵なのに助け合わなければ死んでしまう。ゆえにお互いが現実に折り合いをつけて、いつしか信頼と友情に結ばれていくひねりの効いた設定がユニークだ。そして恐怖と混沌を克服し戦う理由を模索する主人公の感情がリアルに再現される。

パラサイト生物に右手を乗っ取られた新一は、ミギーと名付け共生関係を結ぶ。ある日、新一の高校に田宮という教師が赴任、彼女はパラサイトと人間の共存を図ろうと様々なデータを集めていた。

常に論理的・効率的に考え行動するミギーと情に流されがちな新一。当初圧倒的に優位に立っていたミギーが、新一の母への思いや他人への気遣いを知るうちに“人間らしさ”を理解し共感していく。海を汚し森を侵食しあらゆる生き物や自然にとって害をなす存在の人間は、果たして種として存続に値するのか。映画は新一とミギーの冒険を通じて人間を人間たらしめるものは何かを問う。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、ミギーに敵意を持つパラサイトが新一の母に寄生する。一方でミギーのおかげで精神・肉体ともに強靭にになった新一は己の運命に目覚める。守るべき大切なものは愛する人の命。しかしそんなことは鳥類や哺乳類ならば本能に組み込まれている。では、環境へのやさしさなのか。それならば人間はすでに失っている。今や一心同体となった新一とミギー、彼らこそ未来への可能性であるのは明確になった。続編はパラサイト人脈が組織化し警察の特殊部隊まで登場するようだが、大味な展開だけは避けてほしい。

オススメ度 ★★★*

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