レッドカーペット
監督 パク・ボムス
出演 ユン・ゲサン/デユン/コ・ジュニ/オ・ジョンセ/チョ・ダルファン
ナンバー 193
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
映画監督を志し、“自分の映画を作りたい”という熱意を胸に10年間頑張ってきた。ところが任されるのは低予算のポルノ映画のみ。これも修行と割り切ってメガホンをとり続けるが、やっぱり自作の脚本を他人に横取りされるのは許せない。物語はそんな主人公がわけあり女優との出会いと別れを通じて、本当にやりたかったことに向かって走り出すまでを描く。製作費がないと嘆き、上司の愚痴を垂れているだけだった。でも彼女のひたむきさが、チャンスは与えられるものではなくつかみ取りに行くものだと彼に気づかせる。夢は追うばかりでは逃げていく、叶えるためには具体的な計画と失敗を恐れない勇気が必要とこの作品は教えてくれる。ポルノ映画を蔑む一般人の意識が“芸能”に対する韓国での根強い差別を訴える。
撮影を終えたジョンウがアパートに戻ると、元子役女優・ウンスが転がり込んでいた。ジョンウが書いた脚本を盗み読みしたウンスは、その作品のヒロインを演じたいと願い、女優のキャリアを再開する。
だが、自宅での追加撮影に鉢合わせしたウンスは、ジョンウが女を連れ込んでいると誤解し黙ってジョンウの元を去る。やがてウンスは売れっ子になりジョンウとの格差は広がる一方、ジョンウはくすぶっていた思いを打ち明けるためにウンスの撮影現場に押し掛けたりするが、空回りする。その間、映画に関わる人々の情熱やビジネス感覚、様々な温度の人間関係などがコミカルに再現され、映画業界に生きる人々の生態が活写される。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
しかし、それらのエピソードは、スピード感のないショットの連続とキレのない編集のおかげで非常に冗漫な印象を受ける。さらに創作に辛苦するジョンウや演技の方向性を決めかねているウンスといったクリエーターの苦悩はすっかりスルーされ、“映画界を描いた映画”としては掘り下げ方が不十分。もっと展開を早め、上映時間をあと20分圧縮すれば退屈しなかったのだが。。。
オススメ度 ★★