こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

やっぱり契約破棄していいですか!?

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飛び降り首吊り感電etc. 何度試みても青年は死にきれない。老人は年齢と共に腕が落ち引退を勧告されている。物語は、自殺願望の強い作家志望の若者とリストラ寸前の老暗殺者が結んだ “暗殺契約” を巡る葛藤を描く。書いた小説がエージェントから相手にされない若者は人生に深く絶望している。かつてはトップの実績を誇った暗殺者はキャリアにしがみついている。運がいいのか悪いのか、契約成立後も若者は死に損ない続け、暗殺者は的を外しまくる。暗殺組合という人を食った設定と己の生死すら自由にならない強烈な皮肉がほのかな笑いを誘う。一方でやっぱり生きたいと考え直しても、もう後戻りはできない。敵なのか味方なのか、目まぐるしい展開の中で入れ替わる2人の立場が、まったく予断を許さない。

レスリーに暗殺してもらう約束で大金を振り込んだウィリアムだったが、女編集者・エリーから出版のオファーを受ける。小説を完成するまで暗殺を延期しようとするがレスリーは聞き入れてくれない。

狙撃に失敗したレスリーは、ウィリアムの自宅アパートで待ち伏せするが、そこでも取り逃がす。ウィリアムはエリーと共に逃亡、エリーの隠れ家に身を潜める。危うく殺されるところだったふたりには、いつしか特別な感情が芽生えている。度重なる失態に組織から見放されたレスリーには別のヒットマンが送り込まれ、レスリーもまた命を狙われる。追う者追われる者追いながら追われる者、やがて複雑に絡まり合った関係の中でウィリアムとレスリーの間にも共感が生まれる。それは社会から必要とされていない共通の自覚を2人とも持っているからだろう。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後も頑なに契約を遂行しようとするレスリーだったが、エリーは彼を説得してウィリアムに対する暗殺をやめさせようとする。活動的だが暴力的にはならず、あくまで機転を利かせ言葉を駆使して難局を乗り切ろうとするエリー。彼女を演じたフレイア・メイヴァーの、知識と行動力はあるがどこか垢抜けない女性像がいかにも現代的だった。

監督  トム・エドモンズ
出演  トム・ウィルキンソン/アナイリン・バーナード/フレイア・メイヴァー/マリオン・ベイリー/クリストファー・エクルストン
ナンバー  209
オススメ度  ★★★


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