午前2時に着信音が鳴る公衆電話、受話口からうめき声のような音が聞こえる。廃村に向かうトンネルに入った男女は、その先で言葉では再現できないおぞましい体験をする。臨場感たっぷりの “ブレアウィッチ風” プロローグは、映画の撮影という「覚悟」はなく、動画サイトでバズるのが目的の軽さになっている。物語は、ダム底に沈んだ村人の呪いを受けた人々の恐怖を追う。飛び降りや心臓発作なのになぜか死因は溺死と診断される。一度開いてしまったトンネルの入り口から出てきた悪霊は、町の住人に憑りついて離れない。霊感が強いヒロインは、自らの能力と過去の因縁を探るうちに衝撃の真実にたどり着く。悲痛の果てに死んでいった村人の悪意ある霊ばかりではない、思いを伝えたかっただけの霊もいるとこの作品は訴える。
都市伝説の心霊スポット・犬鳴村を探検した明菜と悠真は多数の幽霊を目撃。その後精神に変調をきたした明菜は自殺、悠真は妹の心理療法士・奏に相談する。奏は幽霊が見える霊感体質だった。
後日、悠真が犬鳴村へ続くトンネルを訪れると入り口は閉ざされている。一方で町の病院では、奏は同じく霊感体質の子供の面倒を見るうちに多くの霊に悩まされるようになる。原因は己の体に流れている犬鳴村の血。父は母の穢れた血を蔑みそれを隠そうとはしない。奏は母方の祖父に祖母の話を聞くうちに、自分こそが犬鳴村民たちを成仏させられる人間であると自覚する。その間、犬鳴村が町の人々からどんな差別を受け、都会の人々に騙されたのかが明らかになり、ダムによって村の存在が葬られていたことを知る。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ただ、そのあたりの展開は流れが悪く怖がらせ方も控えめ。それでも、犬と交わって赤ちゃんを産んだとされる女が、トンネルの中で悠真を追い詰め犬女に変身するシーンは、憎しみと哀しみ、怒りと恨みといったおどろおどろしい情念が充満し、虐げられてきた者たちの怨念がこもっていた。どうせなら完全に犬女になるまでワショットで描き切った欲しかったが。。。
監督 清水崇
出演 三吉彩花/坂東龍汰/古川毅/宮野陽名/大谷凜香/奥菜恵/須賀貴匡/田中健/寺田農/石橋蓮司/高嶋政伸/高島礼子
ナンバー 27
オススメ度 ★★*