こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

さんかく窓の外側は夜

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自分にだけが見える幽霊が怖くて仕方なかった。見ないようにしていても付きまとってくる幽霊をなんとか消したかった。ある日出会った除霊師がおぞましい姿の幽霊を祓ってくれた。物語は、霊能者と除霊師のコンビが自らの才能を生かして警察の捜査を手伝う過程を描く。子供の頃から友達に気味悪がられていた。誰にも言えないまま大人になって、いつもおどおどしながら過ごしていた。そんな青年の前に現れた男は心の中に土足で踏み込んでくる一方で、この世に未練を残した人々の魂を浄化させていく。だが男には幼少期の記憶はなく、人間らしい感情は希薄。頼まれた範囲以上は手を出さず、善意と良心にみちた青年は、クールな除霊師に反感を覚えていく。そして現れた刑事。幽霊はその存在を信じる者にしか見えないというスタンスが潔い。

霊感体質の三角は冷川に除霊してもらったのを機に彼の助手になる。半沢刑事に依頼されたバラバラ殺人事件の被害者の遺体を発見するが、エリカという少女の呪いが彼らの前に立ちはだかる。

エリカは人を呪い殺す能力があり、思念を送ってターゲットを死に至らしめることができる。半沢は未解決の連続殺人事件を追っており、捜査線上に浮かんだエリカに興味を持つが、リアリストの彼は超常現象を受け付けない。エリカの攻撃は半沢には通じず、代わりに半沢の妻に呪いをかけるエリカ。エリカこそ倒すべきラスボスなのか、それとも誰かに操られているのか。社会に強い不満を抱いているようなエリカを平手友梨奈がミステリアスな魅力で演じ切っていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

クールで洗練された映像とテンポよい展開、スタイリッシュな編集は非常に歯切れがよい。ところが、終盤エリカの影が薄くなり半沢も仕事を忘れて妻の心配ばかりしている。冷川の過去が詳らかにされるにつれ血なまぐさくなっていくが、三角は傍観者として手は出せなくても冷川に深く理解を示している。結局彼らはどこに向かっているのだろう? 気弱だが最後までやさしさを失わない三角の成長した姿が頼もしかった。

監督  森ガキ侑大
出演  岡田将生/志尊淳/平手友梨奈/滝藤賢一/筒井道隆/マキタスポーツ/和久井映見
ナンバー  199
オススメ度  ★★*


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