こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

樹海村

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そこから先は足を踏み入れてはならない。見捨てられた人々の怨念に引きずり込まれるから。そして、彼らが残した箱にも決して触れてはいけない。物語は、富士山麓に密かに存在しているという “樹海村” で作られた箱に触った人々の忌まわしい運命を描く。なぜか家の床下に安置してあった。霊感がある少女は偶然それを見つけてしまった。持ち主はわからない。その箱自体に意思があるようにも思える。悪霊を祓おうとしても人間の力では到底及ばない。やがて暴走する悪意に立ち向かうために少女の姉は単身樹海に入っていく。昼なお暗い鬱蒼とした森、その濃い緑は強烈な死の腐臭を放っている。ヒロインが覚える不安と恐怖、それ以上に恨みの連鎖を断ち切るためにこの困難を乗り越えようとする勇気がリアルに再現されていた。

鳴の友人の新居で黒い箱が見つかる。それ以降不吉な出来事が頻発し、彼らは箱をお寺でお祓いしてもらう。一方、妹の響はネット民たちと樹海で消えたユーチューバーを探しに行く。

元々響は霊感が強く、ひきこもってオカルト系サイトにどっぷりとはまっている。家族ともほとんど口を利かないが、鳴とは一緒に出掛けたりする程度のコミュニケーションを取っている。ところがお寺に放火したことから統合失調症と診断され医療施設に隔離される。残された鳴は箱の謎を解き、樹海に隠された真実を明かす決意をする。そのあたりの展開は論理的でも科学的でもないのだが、忌まわしい空気に付きまとわれた人間が少しずつ正気を失っていく過程が首をすくめるほど恐ろしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

樹海の奥深くに隠された棄民の村、そこで再会した亡き母。さらに響の魂も加わって鳴を悪霊から解放しようとする。朽ち果てた肉体でにじり寄るように追ってくる悪霊たちの手足から枝が伸び、ほどなく全身が樹木化していくシーンは、非常に出来栄えの良い映像だった。いくら視聴回数を稼ぎたくてもやっぱりひとりで樹海に入るのは自殺行為。やっぱりバカユーチューバーが後を絶たないのだろうか。。。

監督  清水崇
出演  山田杏奈/山口まゆ/神尾楓珠/倉悠貴/工藤遥/大谷凜香/塚地武雅/安達祐実/原日出子/國村隼
ナンバー  18
オススメ度  ★★*


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