こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

野性の呼び声

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敬意を持って扱ってくれる飼い主の役に立ちたい。常にそう願う力持ちで心優しい犬。文明世界にいたころは飼いならされていた。ところが、厳しい自然に接した時、本能が刺激される。物語は、誘拐されて売りとばさたセント・バーナード犬が苦難の末に本当の自分に目覚める過程を描く。飼い主の顔色を読む賢い犬だった。その巨体でそりを引くときは2頭分の働きをした。気持ちを理解してくれる飼い主には忠誠を誓った。犬にこれほどの知能や感情があるのかどうかは知らないが、彼らは表情豊かにその喜怒哀楽を表現する。まさにCGならではの映像だろう。犬の群れには厳格な序列があり、それを守れない者は上位者から制裁を加えられる。そんな掟の中で、弱きを助け強きをくじく主人公犬は、人間以上に立派なプライドを持っていた。

アラスカで郵便そり引き犬となったバックは、配達夫に気に入られ犬仲間からも一目置かれそり犬のリーダーになる。だが、郵便そりは廃止、新たな飼い主はバックを虐待するが、ジョンという老人に助けられる。

こん棒で殴って犬を従順にさせる。まだまだ動物愛護の精神が乏しかった時代、労働犬たちは横暴な飼い主に脅え餌もろくにもらえない不潔な環境で生活している。犬に愛情を注げばその分戻ってくると知っているジョンは、砂金堀に酷使され瀕死の重傷を負ったバックの面倒を見る。そして芽生えた人と犬の友情。ジョンとバックは地図にない場所を目指して冒険の旅に出る。そこで見つけたひと時の安らぎ。心に深い傷を負っているジョンはバックと過ごす間に少しずつ活力を取り戻していく。嘘をつかない犬は並の人間以上に信頼できるパートナーになれるとジョンとバックは訴える。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ところが、野生の狼と交流するうちに、バックは遠い祖先の記憶をよみがえらせる。森や草原を走り回り小動物を狩る姿は犬の姿をした狼だ。それでも、獲物をジョンに捧げることを忘れない。ただ、テーマ自体が古臭く、もっと表現にもメリハリをつけるなどの工夫が欲しかった。

監督  クリス・サンダース
出演  ハリソン・フォード/ダン・スティーヴンス/カレン・ギラン/オマール・シー/ジーン・ルイザ・ケリー/ブラッドリー・ウィットフォード
ナンバー  39
オススメ度  ★★*


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