こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

今日から俺は!!劇場版

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ケンカは強いが女には弱い。セコイ手で勝とうとするけれど弱い者いじめはしない。ふざけているようで根はまじめ。物語は、そんな高校生が他校の抗争に巻き込まれていく姿を描く。札付きの不良ばかりが集まった高校が隣の高校を占領、支配される側の生徒がついた嘘が思わぬ災難をもたらす。最初は及び腰だったにもかかわらず、親友がブチのめされた事情を知るにつれ、彼らのやり方に怒りの炎を燃えあがらせる主人公。賀来賢人扮する金髪高校生は体をくねらせながらしつこく寒いジョークを連発し、橋本環奈扮する女子高生はわざとらしく猫を被る。ツッパリもスケバンもブリっ子も20世紀末には死語となっていたが、ディテール豊かに再現された1980年代のヤンキー風俗は奇妙な懐かしさを覚えた。ムロツヨシ金八先生風ロン毛が笑えた。

軟葉高校の三橋と伊藤は、開久高校を乗っ取った北根壊高校の番長・大嶽と遭遇するが逃げる。その後、三橋は女子高生に竹刀で襲われるが、その裏には大嶽と相棒の柳が仕組んだ陰謀が隠されていた。

無駄な暴力は望まない主義の三橋は見るからに強そうな大嶽や凶暴そうな柳との接触を極力避けている。だが伊藤はボコられている開久生徒を助けたことから大嶽と激突、全く歯が立たず惨敗する。なのに、三橋は自信喪失した伊藤を必要以上に茶化す。このあたり、仲間とか友情とか絆とか信頼とかいった暑苦しい人間関係を持ち出さず、あくまでも自分中心にものを考える三橋。リーダーとしての資質には著しく欠けるアホではあるが、その軽さがかえって心地よかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、ストーリー展開がかなり強引な上、本筋とつながらないエピソードに時間を割くため、脈絡のない切り貼り感が拭いきれない。また、一発芸のようなギャグで時々クスリとはさせてくれるが、大笑いにまでは膨らまない。クライマックスの大乱闘も開久が北根壊を制圧してこそ意味があるのに、なぜか三橋が軟葉の子分を引き連れて参戦する。疲労した大嶽や柳を倒して勝ちと言えるのか?

監督  福田雄一
出演  賀来賢人/伊藤健太郎/清野菜名/橋本環奈/仲野太賀/泉澤祐希/山本舞香/柳楽優弥/栄信
ナンバー  112
オススメ度  ★★


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