こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

コンフィデンスマンJP プリンセス編

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アジア屈指の大富豪が死んだ。遺産相続人は誰にも知られておらず、生死すら定かでない婚外子。物語は、国際的詐欺師グループが大掛かりな窃盗を企む過程を描く。身寄りのない娘を相続人に仕立て上げる。ターゲットの懐に入り込み情報を収集する。そして完璧な偽装を施して、勇躍敵地に乗り込む。ところが要塞のような大豪邸では、四六時中ボディガードに付きまとわれ、挙句の果てには命まで狙われる羽目になるが撤退戦は不可能、ならばと一族に伝わるお宝に標的を変える。王宮に劣らない広大な邸宅、一切を仕切る執事、豪勢なパーティetc. 目に見えるものすべてにカネがかかっている、これぞスーパーリッチの世界。だが一皮むけばどろどろとした欲望が渦巻いている。そんな心理に付け込む詐欺団のはしゃぎっぷりは、下世話なバラエティ番組を見ているようだった。

こっくりに相続人・ミシェルを演じさせシンガポールのフウ家を訪れたダー子だったが、手切れ金をもらい損ねた上、3か月後の後継者披露パーティまで厳しい監視の下で軟禁状態に置かれる。

フウ家の3人姉弟は当然ミシェルを敵視し排除に動く。執事のトニーはDNA鑑定以外の方法でもミシェルの真贋を調査する。お披露目まで脱出は無理と判断したダー子たちはパーティ会場で一族の玉璽を盗む計画に変更、準備に勤しむ。やがて孤島でのパーティが始まると、ダー子は乾坤一擲の勝負に出る。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、トリックが複雑なようで単純で、後づけのネタ晴らしが繰り返されるのにはうんざりする。また、セキュリティ厳重な島に画家や爆弾男が潜入するなど設定も適当。あらゆるところに仲間を配置する一方、思わぬ敵対勢力の介入で危機一髪に陥ってもなぜか対抗策が用意してあるなど、付け焼刃的な対応ばかり。俳優の演技もいちいち大げさで、演出もわざとらしく鼻につく。作品のクオリティよりもTVドラマのようなノリを優先する、いかにもフジテレビらしいアプローチだが、観客がスクリーンに集中する映画というメディアには向いていない。

監督  田中亮
出演  長澤まさみ/東出昌大/小手伸也/小日向文世/関水渚/ビビアン・スー/白濱亜嵐/古川雄大/柴田恭兵/北大路欣也/三浦春馬/江口洋介
ナンバー  116
オススメ度  ★★


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