こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画

f:id:otello:20201106151301j:plain

一度決めた目標は達成するまでやめない。どんな困難な課題も解決するまであきらめない。無理と口にする者は退出させられる。枠にはまった考え方は捨てろ。常識にとらわれないアイデアを絞り出せ。そうしないと前には進めない。物語は、火星探査ミッションに携わる科学者たちの苦難と奮闘を追う。予算も人材も時間も不足している状況で結果を出さなければならない。プロジェクトリーダーは1日15時間働くと宣言し、ルーティンワークに慣れたスタッフたちにも自己犠牲を求め、不可能を可能にするためにひたすら研究に打ち込む。大勢の人々が抱く夢を叶えた者は、その先もひたすら走り続けなければならない。それは夢破れた大多数の者たちへの責任であり、夢を実現しようと努力している若者たちの道標となると訴える。

月探査ロケット打ち上げに失敗したラケシュは、火星探査計画の責任者を任される。だが、火星計画は事実上の左遷、ラケシュについてきたタラはスタッフの人選を始めるが未経験者しか集まらない。

3人の女性と2人の男性科学者は、私生活にそれぞれ悩みを抱えていてなかなか仕事に身が入らない。というか、短期間で火星探査船を完成させられるなどとは端から思っていない。そんな彼らにタラは科学者を志したきっかけを思い出させ初心に返らせる。その日を自分たちの「誕生日」として祝い、気分を新たにするのだ。妻として母として日々家族の面倒を見ているタラならではの気配りは、組織をまとめる良策の一例を示す。かゆいところまで手の届く演出と、CGでディテールまで再現された打ち上げシーンは、いかにもインド映画という趣を具えている。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

揚げパン、プラごみ、枕の絵etc. 暮らしの中のさまざまな場面からヒントを得て探査機の軽量化に生かす科学者たち。理論的にはわかっていても実用に役立てるにはさまざまな試行錯誤が必要とされる。多少の飛躍はあるが、国家プロジェクトともいうべき宇宙開発計画には気の遠くなるような労力が注ぎこまれているとこの作品は教えてくれる。

監督  ジャガン・シャクティ
出演  アクシャイ・クマール/ビディヤ・バラン/タープスィー・パンヌー/ソーナークシー・シンハー/クリティ・クルハーリー/シャルマン・ジョシ
ナンバー  184
オススメ度  ★★★*


↓公式サイト↓
https://m-mangal.com/